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サルトリイバラ（猿捕茨)

商品写真
上：六甲、甲山　サンキライの花　
中･下：滋賀県高島市　平池の山中　サルトリイバラの青い実

サルトリイバラ（猿捕茨) Smilax china Linne
　　単子葉植物　Monocots
　　　ユリ目 Liliales
　　　　　シオデ科　Smilacaceae（←ユリ科 Liliaceae）　シオデ属 Smilax

別名：サンキライ(山帰来）、ワノサンキライ（和の山帰来）ガンタテイバラ、カンタチイバラ、
　　　マンジュウノハなど他多数

生薬名　　：バッカツ（菝葜)、ドブクリョウ（土茯苓）
利用部分　：根茎　
利用　　　：民間薬　
名前の由来：巻きひげで他の木に絡みつきトゲのある枝を張り巡らすことから
　　　　　　「猿さえも引っ掛かるだろう」ということから猿捕り茨になった。

各地の里山、山道に自生するつる性植物。葉は幅広く丸い。托葉が巻きひげになっているのが特徴。（一部の種は葉柄で巻きつく）花は単性花で雌雄異株のものが多く、小型の花が散形花序をつくるものが多い。雄花だけ、あるいは雌花だけでは実は付かない。

サルトリイバラよりサンキライの名で知られていて四国地方などの関西圏以南では、葉を柏葉の代用に餡餅を包み柏餅にするのに使われる。

従来はサルトリイバラ（Smilax china）の塊茎をサンキライ(山帰来）としていたが、現在日本薬局方ではサンキライ(山帰来）は 中国産のケナシサルトリイバラ（毛無猿取茨）Smilax glabraを当てている。葉、花、実などの外形はサルトリイバラと同じだが、サルトリイバラのようなトゲがない滑らかな茎が特徴。

サルトリイバラは、生薬名、バッカツ（菝葜）と称してサンキライの代用薬にされる。
生薬名、サンキライ（山帰来）の名は昔、梅毒で山に捨てられた病人が此の根により病気が治って山から帰ってきた故事により、山帰来といわれたと伝えられる。ドブクリョウ（土茯苓）の名でも輸入されているが、茯苓とは根茎の外観がやや似ているだけの名前で、全く別種のもの。（茯苓は菌類。）サンキライは利尿や解毒に有効でかつては名前の由来のように、梅毒にも用いられた。現在は皮膚病の家庭薬に用いられている。

サルトリイバラの適用
　　・慢性皮膚疾患の排膿・解毒あるいは体質改善の目的で配合剤に用いる。
　　・若葉や新芽はゆでて山菜として食用に、乾燥葉はお茶にしても良い。

―サルトリイバラの方言例―
サンキライは日本各地の山野に自生するので、各地で様々な名前で呼ばれる。
１例として湖北、木之本宿の銘菓“がらたて”を紹介したい。木之本地蔵院の門前に丁稚羊羹とともに”がらたて”の暖簾があがっている。“がらたて”とはサルトリイバラの葉で包んだ餡餅でいわゆる関西の柏餅だ。この地方ではサルトリイバラ（サンキライ）を“がらたて”といい此れがそのまま和菓子の名になったそうだ。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第１５改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・野草の名前　秋　冬　高橋勝雄著　（山と渓谷社）
　　　
（コメント）
近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ�気�発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧ�靴�発表されるに至っている。従来の分類ではユリ科に属していたが、シオデ科が新たに創設され、サルトリイバラはユリ科から独立したシオデ科に移動した。


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