ジキタリス  

ジキタリス Digitalis purpurea Linne
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
   シソ目Lamiales
     オオバコ科Plantaginaceae  ジキタリス属Digitalis

植物由来医薬品
強心利尿薬 ジキタリスの起源植物


生薬名  :ジキタリス
利用部位 :葉   
利用   :強心薬、利尿薬ジキタリスの原料
名前の由来:ギリシャ語で「ゆび」を表すdigitalに由来する。

緑の芝生に囲まれた初夏の花壇の多くの花々の中でも、丈高く美しい花を咲かせるジキタリスは、ひときわ目立つ存在だ。
穂状の特徴のある花と、多彩な花色からイングリッシュガーデンなどで好んで鑑賞用に植えられ見事な花を咲かせる。
花の形が手袋の指の形に似ていることから妖精の手袋「フォックスグローブ」「キツネノテブクロ」などの名がある。

医療上重要な医薬品の原料になる薬草で、葉をジキタリス葉といい、心臓の働きを強くする作用がある。


ヨーロッパの山岳地帯が原産。ジキタリスの葉は、アイルランドで中世の初め頃から民間薬として利用されていたが、1785 年イギリスの医師、ウイリアム・ウィタリング(Williams Witering) が浮腫の治療薬としてジキタリスの効果を報告して以来、強心利尿薬として世界的に臨床上の重要性が認識された。

日本へは1879年(明治12年)渡来したといわれ、ジキタリス葉として日本薬局方に初版から収載されている。葉にはプルプレア配糖体A、Bが含まれ、Aが酵素分解してできるジキトキシン(digitoxin)がもっとも強い薬効を示す。


現在、うっ血性心不全の薬として不動の座を得るに至っている。しかし「薬と毒は紙一重」のたとえどおり適量がしい。誤ればジキタリス中毒を起こすので、要注意。

観賞用の花として植えていても有毒なので、取り扱いには十分な注意が必要だ。

成分
 ・強心配糖体:プルプレア配糖体A、B、ジギコリン
 ・サポニン:ジギトニン、ジトニン

参考文献
    ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
    ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
    ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
    ・ヤマケイポケットガイド ハーブ 亀田竜吉(山と渓谷社)
    ・薬になる花 田中孝治    (朝日新聞社)
    ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


(コメント)
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、
近年、DNA配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
APGによる大分類で、1998年に最初の系統的分類APGⅠが発表されされてから改定が加えられ、現在は2009年のAPGⅢが発表されるに至っている。
その結果、従来ゴマノハグサ科とされていた多くの属は再編され、ジキタリス属やレーマンニア属などはオオバコ科に移された。

所属「科」などは近年の遺伝子DNA配列に基づく、新分類体系APGⅢ方式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています(T.K)