ザクロ（石榴、柘榴）
ザクロ（石榴、柘榴）Punica granatum Linnne
真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots
フトモモ目Myrtales
ミソハギ科Lythraceae (←ザクロ科Punicaceae） ザクロ属Punica
"希望と不死のシンボル” ザクロ
生薬名 ：ザクロ皮（石榴皮、柘榴皮）
利用部位 ：根皮、樹皮、枝皮
利用 ：民間薬、食用（果物）染色
名前の由来 ：日本名ザクロはセキリュウ（石榴）の呉音。石榴は安石の略。安石は地名。
果実の形がコブ(瘤)に似る事から瘤が榴に転じたもの。
イランがザクロの原産地、アフガニスタン、パキスタンなどの地域に野生し、ブドウとともに人類の文明の初期から登場する果物で、交易を通し東西に広まっていった。
中国には漢の武帝の時代、西域に派遣された張騫が持ち帰ったという。ペルシャ（安石国）からもたらされた果物という意味から安石榴または石榴という字が当てられた。
日本でもそれをそのままザクロと読んだ。ザクロの実は古代から希望や不死を顕わすシンボルとして、宗教的な絵画や像に多く登場する。
６月ごろ赤い花が咲く。実は球形で先にがく片が残る。厚い外果皮はがく筒が発達したもの。秋に熟すると裂けてのぞいているのは種子の外種皮で透明な淡紅色、果汁が多く甘酸っぱい味がする。此の部分を食べたり、またグレナデン・ジュース（ザクロジュース）の原料にする。
根皮、樹皮はアルカロイド０.３〜０.６％（主成分ペレチエリン）その他タンニン２２〜２８％を含む。
有効物質ペレチエリンが揮発性アルカロイドであるため、新鮮皮でなければならない。条虫駆虫剤にする。
中国では果実の皮を石榴皮といい（根皮、樹皮の場合は石榴根皮という）タンニン、粘液を含み、止瀉薬、咽頭炎、扁桃腺炎などに用いる。又果皮は鏡を磨くのにもつかわれる。染色には樹皮、葉、果皮から媒染を替え褐色から焦げ茶色、紺黒色など多様な色に染めることが出来る。
成分
・アルカロイド：ペレチエリン、イソペレチエリン、メチルイソペレチエリンなど
・タンニン：プニカコルテインＡ、B、C、D、プニカリン
応用
条虫駆虫剤、止瀉薬、咽頭炎、扁桃腺炎
参考文献
・朝日百科 世界の植物 （朝日新聞社）
・最新生薬学 刈米達夫著 （広川書店）
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 （広川書店）
・山渓カラー名鑑 日本の樹木 （山と渓谷社）
・花と樹の事典 木村陽一郎 監修 （柏書房）
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
(コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ�気�発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧ�靴�発表されるに至っている。
その結果ザクロ科はミソハギ科に統合されザクロ科はなくなった。
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）