セイヨウトチノキ(西洋栃の木)
セイヨウトチノキ(西洋栃の木) Aesculus hippocastanum Linne
真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots ＞バラ類Rosids＞アオイ群Malvids
ムクロジ目Sapindales
ムクロジ科 Sapindaceae トチノキ属 Aesculu
別名：マロニエ( marronnier)、馬栗（ホースチェスナットhorse chestnut）
利用部位 ：種子
利用 ：医療用医薬品製造由来、食用
名前の由来：日本原産のトチノキに似ている近縁種で外来種という意味。
フランス語で栗のことをマロンといい、種子が栗に似ているのでマロニエの名がある。
バルカン半島南部が原産の落葉高木。樹高３０ｍに達することもあるそうだ。アジア北部にも自生する。イギリスやフランスでは広く植栽されていてパリの並木道、マロニエの並木道はトチノキの近縁種セイヨウトチノキが植えられている。種子が栗の実に似ることからマロニエの名がある。
セイヨウトチノキの名よりマロニエの方が言葉の響きが良くロマンチックな感じがする。
花も葉も大型、おおらかで美しい。花は５月頃トチノキに似た白に少し赤みが差した花を咲かせる。秋実る果実はほぼ球形で果皮に棘がある（トチノキの実には棘はない）。
熟すると３裂し中に種子が入っている。食用に利用されたりするが、馬栗（ホースチェスナット）の別名がある様に馬や家畜の飼料にされる。
種子にはサポニンの一種エスチンが含まれる。
エスチンは毛細血管の透過性を抑制し、毛細血管のもろさを強化し血流促進、消炎作用がある。ヨーロッパではこの種子からエキスを抽出し、痔や静脈瘤の治療に用いたり、手術後の消炎剤に利用したりする等、西洋の薬物療法の歴史の中で伝統的に利用されてきた。ドイツでも昔から民間薬として利用されてきた。
製薬会社より、セイヨウトチノキを原料植物にした軟部腫脹治療剤が製剤され医療の場に供されている。
主な成分
・サポニン：アエスシン、プロトアエスゲニン、ピポカエスクリン、エスクリン
・アシルグループ：アンゲリック酸、アセティク酸
・その他、タンニン、フラボノイド、デンプン 等
Photo：日本新薬 山科植物資料館 刺のある果皮と、光沢のある中の実
刺のある果皮の中には褐色の光沢のある大きなクリ様の丸い種子が入っている。
(栗のようなとんがり部分は無い)
参考文献
・朝日百科 世界の植物 （朝日新聞社）
・花と樹の事典 木村陽一郎 監修 （柏書房）
・山渓カラー名鑑 日本の樹木 （山と渓谷社）
・日本の野生植物 木本�供 癖針渕辧�
・製薬会社 インタビューフォーム
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
(コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ�気�発表されてからも改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧ�靴�発表されるに至っている。
その結果、従来のセイヨウトチノキが属していたトチノキ科やカエデ科はムクロジ科に併合され、両者の科の名称は消滅した。
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）