ミブヨモギ（壬生蓬、壬生艾）
ミブヨモギ（壬生蓬、壬生艾）Artemisia maritimaL.subsp monogyna Waldst et Kit
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids
＞キキョウ群Campanulids
キク目Asterales
キク科Asteraceae ヨモギ属Artemisia
回虫駆除薬 サントニンの原料植物
利用部分 ：花蕾、全草
利用 ：医薬品起原植物、サントニン原料植物
名前の由来：ヨモギ属の一種で栽培に成功した地名、京都壬生に因む。
かって日本人の国民病の１つであった寄生虫、回虫の駆除に貢献したサントニンの原料植物。
当時サントニンの原料植物はシナヨモギArtemisia cina (Berg) Willkommであったが産地は当時のソ連邦キルギス平原の�吃瑤妨堕蠅気譟�原産国ソ連邦が国外持ち出しは禁止していた。１００％輸入に依存していたが、第一次世界大戦により輸入が途絶えたため、国産化が急がれた。
サントニンの国産化事業を企画した日本新薬は、シナヨモギに変わるサントニン含有植物を探し、１９２７年（昭和２年）南ヨーロッパの沿海地に自生するヨモギ属の一種Artemisia maritimaの種子を入手した。試験栽培の結果、その花蕾からサントニンを抽出し結晶化に成功した。そのことを記念し同社の所在地、京都壬生の地名に因みミブヨモギと名付けた。
本格的な北海道での栽培や品種改良が行われ１９４０年（昭和15年）国産のサントニンとして製剤化された。こうした国産の薬の貢献や環境の衛生化に伴い、今や日本では回虫は撲滅されたが、世界的に見ると、まだ、多くの人たちがこの寄生虫に悩まされている。
ミブヨモギは私たちが普通連想する、緑のヨモギとは異なり、白っぽい灰色の葉が細かく裂けている繊細な葉をしていて、両性花の微細な小頭花を付ける。
全草に０.３％、蕾に２〜３％のサントニンを含有する。シナヨモギは蕾からのみであったが、ミブヨモギは全草をサントニン原料として用いることが出来る。
参考文献
・朝日百科 世界の植物（朝日新聞社）
・最新生薬学 刈米達夫著 （広川書店）
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著（広川書店）
・薬学雑誌 ２０１１ Vol.131 (日本薬学会)
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）