エンゴサク／エゾエンゴサク(蝦夷延胡索)
エンゴサク／エゾエンゴサク(蝦夷延胡索) Corydalis ambigua Cham et Schlechtl
真正双子葉植物Eudicots＞基部真正双子葉植物Basal Eudicots
キンポウゲ目Ranunculales
ケシ科Papaveraceae（ケマンソウ科Fumariaceaeを含む）キケマン属Corydalis
生薬名 ：エンゴサク(延胡索)
利用部分 ：�＿�根（地上部が枯れた頃、掘り上げる）�∩漢�
利用 ：�ヾ訴�薬 ��観賞用
名前の由来：東北や北海道に自生するので“エゾ(蝦夷)”に塊茎を蒸して乾燥すると生薬のエンゴサク
（延胡索）になる。エゾエンゴサクも代用される。
エンゴサクの名のつくのには４種ほどが知られている。本種エゾエンゴサクをはじめジロボウエンゴサク、ヤマエンゴサク、ミチノクエンゴサクなど。エンゴサクの名は、漢名の延胡索からで、塊茎にアルカロイドを含み、鎮痙、鎮痛、通経に効きめがあるとされている。塊茎を堀り上げ乾燥させ漢方薬として使っていた。
エンゴサクの植物の起源にはいろいろあるが、現在日本では、上述の数種の日本産の塊茎を蒸して乾燥し生薬エンゴサク（(延胡索)の代用として薬用にしている。
北海道、東北北部の山地、樺太、千島列島、オホック沿岸に自生する。春、早春の山地に、葉を広げ花を咲かせる。エンゴサクやジロボウエンゴサクが淡いピンク色をしているのに対し、エゾエンゴサクの花は鮮やかな青紫色。全面は唇形、後部は筒型の距（きょ）になっている。距は花の中央の穴から続いていて蜜を分泌する。
地下に直径１〜2cmの塊茎がある。葉と苞は卵円形、葉縁は全縁。長い葉柄があり、1〜３回、３出複葉の形態をしている。ヤマエンゴサクとは近縁。
かつてアイヌやシベリアの人たちは全草を茹でたり、塊茎を水にさらし粉にして食べたそうだ。
自生の花を見る機会は少ないが、平地や道端でよく咲いているムラサキケマンや海辺に多く、黄色の花の咲くキケマンもこの仲間なので、大体の花の形は連想できる。
成分
アルカロイド：コリダリン、プロトピン、テトラヒドロパルマチン、デヒドラコリダリンなど
作用
鎮痛鎮静作用、気血のうっ滞の改善作用があり、浄血、利尿、鎮痛、鎮痙薬として、頭痛、
腹痛、胃痛、月経不順による下腹部痛に有効
エンゴサクと同じキケマン属の植物
・ムラサキケマン（紫華鬘）Corydalis incisa Pers
ケシ科Papaveraceae（ケマンソウ科Fumariaceaeを含む）キケマン属Corydalis
Photo：徳島 津峰神社
草丈２０〜５０ｃｍ程、日本各地の湿った山道沿いや空き地に自生。春先、赤紫の唇弁の可愛い花を咲かせるので見る機会は多い。ジロボウエンゴサクの花に似るが、葉は細く切れ込む。
・キケマン（黄華鬘）Corydalis heterocarpa Sieb et Zucc.var. japonica Ohwi
ケシ科Papaveraceae（ケマンソウ科Fumariaceaeを含む）キケマン属Corydalis
Photo：高知 室戸岬 キケマン、ハマダイコンの群生
海岸や海沿いの道で良く見かける２年草。葉は粉緑色。葉身２０ｃｍ細く切れ込みのある２〜３回３出複葉。花は黄色で横に長い筒状をしている。
参考文献
・朝日百科 世界の植物 （朝日新聞社）
・野草の名前 春 高橋勝雄 解説（山と渓谷社）
・原色和漢薬図鑑 下 難波恒雄著(保育社)
・日本の野生植物 草本�供 癖針渕辧�
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）