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ゴボウ(牛蒡)

商品写真
上・下:武田薬品 京都薬用植物園 ゴボウの花

ゴボウ(牛蒡)Arctium lappa Linne
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
 >キキョウ群Campanulids
   キク目Asterales
     キク科 Asteraceae ゴボウ属 Arctium

生薬名   ゴボウシ(牛蒡子)、アクジキ(悪実)、ダイリキシ(大力子)
利用部分  :果実   
利用    :日本薬局方生薬 漢方処方薬 
名前の由来 :丸い大きな葉が両側に広がる菜の意味。(牛は大きいものを形容している。)

ゴボウは私たちの食卓に馴染みのある野菜で、和の食材には欠かすことの出来ないが、驚いたことに根を食べるのは日本だけの食文化とのこと。

原産地は、ヨーロッパから中国にかけてのユーラシア大陸といわれている。元々ヨーロッパの雑草であったそうで、日本には野生種はない。世界各地で栽培される。しかし牛蒡の根を色々の料理に使うのは日本だけで、欧米には食用の習慣はなく、又中国でも若い葉を野菜として食べるが、主に野菜用としてではなく種子を薬用に利用するために栽培している。日本へは中国から元々薬用として渡来。平安時代には「キタキス(岐多岐須)」「ウマフブキ(宇未布岐)」と言っていた。
若い葉がフキに似ているから、旨いフキとも解釈されたのだろう。現代でも初夏、若い葉と根がワカゴボウとして市場にで、独特の香りと食感が好まれる。
堅い繊維は腸の運動を盛んにし、血液の浄化作用もあり、含まれるリグナン配糖体には制がん効果も認められている。
主に根を食べるために栽培するようになったのは江戸時代、ゴボウを食用に改良したのは日本人と言われている

初夏、アザミに似た花を咲かせる。春、種をまいてから翌年の夏、1年ぐらいたたないと花は咲かない。球状の総苞に包まれた直径4cm程の淡紫色の花を咲かせる。花は丸い球形の総苞に包まれ先がとがった針状になっている。アザミとの近縁関係を思わせる。総苞の棘は熊の毛を連想させることからゴボウ属、アルクティウムはギリシャ語のアルクトス(熊)に因む。花の後の種子はゴボウシ(牛蒡子)、またはアクジキ(悪実)ダイリキシ(大力子)と称し薬用にする。


漢方では、発汗、利尿、解毒、消炎・排膿を目的に腫れ物の内服に用いる。さらにかぜ薬や咽頭炎の処方に配合されている
2年以上の根を乾燥させたものが牛蒡根で新陳代謝機能促進、食欲増進、発汗、利尿作用、鎮咳に用いられる。ヨーロッパの民間でも利尿、発汗薬にする

さらに痰のつかえには生根の汁を飲むか、毒虫に刺された時は葉や根の生汁をつけると効き目があるなど、民間薬としての用途は広い。若葉はサラダに、乾燥葉は入浴剤に利用できる。

成分・効果
リグナン系苦味配糖体: アルクチン、アルグチゲニン、ネオアルクチン、ラッパオール
ステロール:ダウコステロール
パルミチン酸を主成分とする脂肪油 食物繊維として消化されにくい水溶性イヌリン、腸の運動を活発にする不溶性のヘミセルロースリグニンなど

漢方処方として 感冒や咽喉炎を治す鎮咳去痰薬処方に用いられる。利尿薬としても浮腫の治療につかわれる。

漢方処方例   
 ・駆風解毒湯(くふうげどくとう)  
   喉が腫れて痛む場合の扁桃炎、扁桃周囲炎などに  
 ・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
   子供の神経症、慢性扁桃炎、湿疹、慢性的な胃腸病、貧血などに
 ・消風散  (しょうふうさん )    
   湿疹、じんましん、水虫、あせも、皮膚そう痒症などの分泌物が多い慢性皮膚疾患などに。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


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