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クソニンジン  

商品写真
上・中:武田薬品 京都薬用植物園クソニンジンの花
下:3回羽状細裂するクソニンジンの葉

クソニンジン Artemisia annua Linne
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
 >キキョウ群Campanulids
   キク目Asterales
     キク科 Asteraceae ヨモギ属 Artemisia

英名:Sweet Annie、wormwood

生薬名   :オウカコウ(黄花蒿)
利用部分  :全草
利用    :薬用(マラリアの薬 アーテスネートの基源植物)
名前の由来 :独特の臭い(悪臭だといわれる)と葉がニンジンに似ることから

アジア、ヨーロッパにも広く分布し、日本へは中国からの帰化植物。草丈2m近くにも成長し、
今日では道端や、荒地に自生し繁茂している。
晩夏から初秋にかけて黄色い直径1.5mm程の小さな頭状花を穂状につけ、大きな円錐状になる。この様子は他のヨモギの仲間と同じで区別が付きにくいが、葉の様子で鑑別する。葉は3回羽状細裂し、ヨモギの葉とは全く異なる
名前にもいろいろあるが、もう少しましな名前にならなかったのだろうか?と疑問に思う。
気の毒な名前がついているが、中国では「本草綱目」にすでに収載されている伝統ある薬草。古くから全草を苦味健胃薬に用いていた。全草に香りのもととなる精油が含まれ、精油中には、アルテミシアケトン、カリオフィレン、シネオール、ピネン、カンフェン等の成分が知られている。

近年、この植物からアルテミシニン(artemisinin)が発見され、抗マラリア作用から、マラリアの特効薬発見として2015年、ノーベル生理学・医学賞の対象になり注目を集めた。発見者は中国の女性科学者トゥーユーユー(Tu Youyou)氏。

日本は幸いマラリアの脅威は殆どないが、世界的には多くの人が犠牲になっている感染症の1つ。
従来の薬剤、キニーネやクロロキン製剤に加え、マラリアの特効薬アーテスネート(artesunate)としてアフリカ等で使用されている。
アーテスネートは日本では未承認のため、熱帯病治療薬研究班の保管薬剤の対象にされている。
必要時その使用機関において、保管薬を用いて治療が受けられるようになっている


参考文献
    ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
    ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
    ・今日の治療薬 2015  (南江堂)
    ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)

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