ベニバナ（紅花）

名前から探す	ア行	カ行	サ行	タ行	ナ行	ハ行	マ行	ヤ行	ラ行	ワ行
用途から探す	漢方薬	製薬基源植物	日本薬局方生薬	民間薬・薬用	ﾊｰﾌﾞ･ｻﾌﾟﾘﾒﾝﾄ	香料・香辛料	食用と嗜好品	染色・繊維	油脂	鑑賞用・その他

上・下：日本新薬　山科植物資料館　
開花のはじめは黄色い。次第に赤橙色になる

ベニバナ（紅花）Carthamus tinctorius Linne
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids
　＞キキョウ群Campanulids
　　　キク目Asterales
　　　　　キク科 Asteraceae　ベニバナ属 Carthamus

別名：末摘花　　
英名：サフラワー

生薬名　　：コウカ(紅花）
利用部位　：①開花期の管状花　②種子
利用　　：①日本薬局方生薬、染料、着色料（口紅、食紅）②食用油（サフラワー油)
名前の由来：紅を採る花、中国名、紅花をそのまま音読みしたもの。

　　　　　　別名、末摘花は収穫時、先端の花から摘み取ることに因んだ名。

　　　　　　源氏物語に末摘花というあだ名の姫君が登場する。ベニバナに因む。

エジプトなどの中近東原産のキク科の草本。古来から世界各地で栽培される。中央アジアから中国へ伝えられ、日本へは飛鳥時代か、その少し前に朝鮮半島を経由して伝来したと考えられている。６月頃アザミに似た花は最初黄色から次第に橙色を帯び、鮮紅色になる。この頃が採取時期。
茎の先端に咲く頂花の末端の花弁を摘むので末摘花ともいわれる。古くから日本の代表的な染料としてまた医薬に用いられてきた。薬にはそのまま風乾させるが、染色用には、水洗した後、蒸し、１昼夜湿潤状態でねかせて発酵させ、すり鉢で搗いて餅状にしたものを乾燥させ紅花餅を作る。

紅花には２種類の色素が含まれている。染色する際は紅花餅をほぐし、水洗し黄色い色素（サフロールイエロー）を溶かし出し、灰汁で赤色色素（カーサミン）を浸出させ酢梅酢などで酸性にすると紅色に着色する。絹を染めると合成染料では得られない高貴な色調が得られる。山形県、最上地方は紅花の産地として有名で、江戸時代米沢藩の重要な財源になっていた。
現在も紅花は県の花になっている。

漢方では冷え性、血色不良など主に婦人薬に用いられる。無害な紅色着色料（食紅）として食品に利用されたり、口紅にも利用された。又、種子を圧搾して得られる油をサフラワー油と称し７０％のリノール酸を含むことから低カロリーの食用油として需要が多い。

主な成分
　　色素：カーサミン（赤紅色）、サフロールイエロー（黄色、水溶性）
　　その他、脂肪油、リグナン、フラボノイド、ステロール

ベニバナの色素カーサミンを結晶化。その構造式を決定したのは日本で女性初の理学博士となった女性化学者の黒田チカ氏（1884～1968）。他に紫根のシコニン、タマネギの皮の色素ケルセチンなど私たちの身近にある色素の研究で大きな足跡を残した。

紅花配合の主な漢方処方

　婦人薬とみなされる処方やその他に少数例配合されている。その他婦人用薬の原　　

　料にされる
　　・滋血潤腸湯（じけつじゅんちょうとう）

　　・通導散　　（つうどうさん）
　　・治頭瘡一方（ぢずそういっぽう）など

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）

　　・生薬単　原島広至著　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・ヤマケイポケットガイド　ハーブ　亀田竜吉（山と渓谷社）
　　・薬になる花　田中孝治　(朝日新聞社)
　　・植物分類表　大場秀章　編著（アボック社）

ベニバナ（紅花）

科目別の一覧