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ホソバオケラ(細葉朮)

商品写真
上・中:大阪薬科大学薬用植物園
下:武田薬品 京都薬用植物園 細かい鋸歯のある細い葉

ホソバオケラ(細葉朮)Atractylodes lancea De Candolle
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>キキョウ群Campanulids
   キク目Asterales
      キク科 Asteraceae  オケラ属Atractylodes

生薬名  :ソウジュツ(蒼朮)
利用部分 :根茎
利用   :日本薬局方生薬、漢方要薬
名前の由来:オケラの仲間で花も葉もオケラに比べ、やや細く長いことから。
      小属名の lanceaはラテン語のランケア「軽い 槍、やす」に由来。古代ローマ軍の
      兵士は最初槍を投げて先制攻撃をした という。槍の穂先は鋭く尖りギザギザで刺さる
      と抜けないような仕組みになっている。
      オケラの葉の縁のギザギザ状の鋸歯がこの形状に似ていることからの因んだ名。

中国原産。秋、茎の頂に頭状花序を1個付ける。花は白色。雌雄異株。古くから薬用として珍重され、享保年間に輸入され官園で栽培、その種苗が各地で栽培された。現在ではその当時のものは生産されていないが、佐渡にわずかに残存し佐渡蒼朮、サドオケラと呼ばれる。

秋から冬にかけて掘り起こし根茎からひげ根を取り除き天日乾燥する。香りが良く白色結晶が析出するのが良品とされる。結晶成分は精油β-オイデスモール、ヒネソールの混晶で形成される。主として漢方処方用薬。漢方では水分代謝不全に利尿、発汗を目標に健胃、消化、止瀉、整腸薬、利尿薬、鎮暈薬、保健強壮薬、鎮痛薬とみなされる処方に比較的、高頻度に処方される。

成分
  ・精油3.5〜7%:β-オイデスモール、ヒネソールを主成分。
  ・ポリアセチル化合物:アトラクチロジン、アトラクチロジノール、アセチルアトラクチ 
             ロジノール
  ・セスキテルペン配糖体:アトラクチロサイドA〜I

漢方処方例
  ・胃苓湯   (いれいとう)
  ・香砂養胃湯(こうさよういとう)
  ・二朮湯  (にじゅんとう)      など

朮、蒼朮の名で配合されている処方
  ・平胃散   (へいいさん)
  ・香砂平胃湯 (こうさへいいとう)
  ・加味平胃散 (かみへいいさん)
  ・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
  ・消風散   (しょうふうさん)
  ・分消湯   (ぶんしょうとう)
  ・治頭瘡一方 (ぢずそういっぽう)
  ・疎経活血湯 (そけいかっけつとう)    など

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著(広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・植物分類表 大場秀章 編著(アボック社)


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