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キキョウ(桔梗)  

商品写真
上:北九州 平尾台カルスト台地
中:奈良 元興寺境内
下:雌しべの成熟期

キキョウ(桔梗)Platycodon grandiflorum A De 
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
>キキョウ群Campanulids
   キク目Asterales
     キキョウ科 Campanulaceae  キキョウ属 Platycodon


秋の七草の一種


生薬名      :キキョウコン(桔梗根)
利用部分 :根  
利用法  :日本薬局方収載生薬、漢方処方用薬 キキョウ流エキス原料
名前の由来:本草綱目の注釈に「根は結実(ひきしまり)梗直(真っ直 ぐ)なり」から。   

      また中国名、桔梗をそのまま音読みにしたものとの説。


日本、韓国、中国などに分布する多年草。日本では花の美しさを愛で観賞用に栽培する。秋の七草の1つとして馴染み深く、多くの詩歌や絵画に登場してくる。また家紋などの文様にも好まれた。家紋に桔梗を用いた武将は清和源氏の土岐氏で、土岐氏の流れを汲む明智光秀が桔梗紋を用いたのは、よく知られている。坂本竜馬も桔梗紋。やさしげで優雅な花とは対照的に桔梗の根はたくましく、薬用にはこの根が使われる。


3〜5年目の桔梗の根を秋〜冬にかけて堀り上げ、よく洗い天日干したものを桔梗根(生干桔梗)という。また周皮のコルク層を取り除いた皮去りを晒桔梗という。

桔梗の根にはサポニンとイヌリンが含まれている。
桔梗根は日本薬局方収載の生薬で、鎮咳、去痰薬としてまた排膿薬として化膿性疾患、扁桃腺炎、咽頭炎に用いられる。去痰薬として粉末のキキョウ末、キキョウ流エキスの製造原料にされる。

主な成分
   ・サポニン類:プラチコジンA,C,D、ポリガラシンD
   ・その他:ベツリン、イヌリン、フィトステロール
漢方処方例
 消炎排膿薬、鎮咳去痰薬とみなされる処方及びその他の処方薬に多く配合される
   ・桔梗湯(ききょうとう)
   ・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
   ・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)
   ・排膿湯(はいのうとう)
   ・竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)
   ・五積散(ごしゃくさん) 
   ・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
   ・小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)
   ・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)など

ーキキョウの花の自家受粉を避ける仕組みー
キキョウ1輪
  雄しべが成熟している時期

キキョウの花は5本の雄しべ、先端が5本の柱頭のある1本の雌しべからなる。
開花時、雄しべ、雌しべの成熟をずらし自家受粉を避けている。
雄しべが先に成熟する。その時は雄しべと雌しべは接しているが、雌しべの柱頭はまだ開いていない。雌しべが成熟し柱頭が5つに開く頃は雄しべの花粉は終わり、雄しべは雌しべから離れる。花粉は他の花からもらうような仕組みになっている。



参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・薬になる花 田中孝治    (朝日新聞社)
  ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)


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