キカラスウリ(黄烏瓜)  

商品写真
上:四天王寺夕陽丘の街路樹 中:大阪プール八幡屋公園  キカラスウリの花 
下・下:黄変した実

キカラスウリ(黄烏瓜)Trichosanthes kirilowii Maximowicz var.japonicum Kitamura 
真正双子葉類Eudicots >中核真正双子葉類Core Eudicots >マメ群Fabids
       ウリ目Cucurbitales
         ウリ科 Cucurbitaceae  カラスウリ属 Trichosanthes

天花粉の製造原料

生薬名  :①カロコン(括楼根) ②カロジン(括楼仁)
利用部分 :①根(秋から初冬に掛けて採取)②種子
利用   :日本薬局方生薬、漢方薬、外用
名前の由来:黄色い実のなるカラスウリの意味味。              
      カロコンの名はキカラスウリの原種といわれるシナカラスウリの根をカロコン
      (括楼根)というのに因んだ名。     

日本特産の植物。日本各地に自生するつる性の多年生草本。同類似のカラスウリの実が赤なのに対しキカラスウリは文字どおり実は熟すると黄色くなる。カラスウリよりひとまわり大きい実。

実の色で区別は容易だが、花の様子など全体は良く似ていて区別しがたいが、花は大きく長く咲いている。カラスウリの花より花弁は大きい。
キカラスウリの花は夕方暗くなる頃から咲き始める。蛾による虫媒花。朝には萎む。花弁の縁は糸のように細かく裂ける。夜目にも白い幻想的な花は虫を引き寄せるため大きく見せているともいわれている。2番目のPhotoは明け方に写したためやや萎みかけ。
またキカラスウリの葉の方が、全体的に毛が少なく滑らかで葉は艶があるのに対し、カラスウリは細かい毛があり葉は濃い緑色。
秋~初冬にかけて根を採取し薬用にする。カラスウリ(烏瓜)に同じだが、日本薬局方、漢方生薬にはキカラスウリが適用される。根をカロコン(括楼根)といい漢方では、解熱、止渇、利尿、鎮咳、去咳、催乳に用いられる。又、少数の漢方処方に配合されている。
根には多くのデンプンが含まれ天花粉の原料にもされる。冷房が完備した現在では「あせも」などあまり経験しないが、かつてはお風呂上りに必須の懐かしいパウダーの天花粉はこの植物の根のデンプン由来のもの。

主要成分 
  ・脂肪酸:トリコサン酸、 
  ・デンプン
  ・アミノ酸:γーアミノ酪酸
  ・ステロイド
  ・ククルビタン系トリペノイド
  ・レクチン

漢方処方例
  柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 
  柴胡清肝湯  (さいこせいかんとう) など      

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著(広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 秋 冬 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社)    
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)

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