ニワトコ（庭常）

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上：生駒山　ニワトコの花
中：西名阪自動車　香芝ＳＡ
下：宮崎県　都井岬　赤く熟した実

ニワトコ（庭常）Sambucus racemosa L. subsp. sieboldiana (Miq.) Hara
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids
＞キキョウ群Campanulids
　　　マツムシソウ目Dipsacales
　　　　　レンプクソウ科 Adoxaceae ニワトコ属 Sambucus　

打撲・骨折の湿布剤に
　　　
生薬名　　：セッコツボク（接骨木）
利用部分　：葉、茎、花
利用　　　：民間薬
名前の由来：ニワトコは”みやつこぎ（造木）”の音転。みやつこぎ（造木）は庭(ニワ）

　　　　　　五木(ウコギ)の略転。ウコギと共に生垣にされていた。
　　　　　　

高さ５～６ｍ位になる潅木で、本州、四国、九州(南は奄美大島まで）の各地の山野に広く自生している。また朝鮮半島南部、中国の温帯の山野にも自生する。
ニワトコは万葉集にも「ヤマタズ(山多豆）」の名で登場する程、昔から日本人には親しみの深い樹木の１つで、よく農家の庭先に植えられている。
早春の芽立ちが早く、他の木々にさきがけ、いち早く新芽を出す。春の訪れを告げるだけでなく、かっては若葉を緑肥として苗代に鋤き込むのに利用されてもきた。
農事に大切な植物であるだけでなく、民俗学にもいろいろの行事にニワトコが利用され重要な役割を担ってきた。小正月の飾り物や、紙が普及する以前の御幣としての利用もその1例。

４～５月頃、枝の先に多数の白い花をつける、蕾の頃はこんもりとした円錐花序でブロッコリーのような塊状をしている。夏になると鮮やかな赤い実になる。
早春の芽立ち、花時だけでなく、実もそれぞれ風情があり美しい。

開花前の花、枝、葉や根を陰干し乾燥させ民間薬にする。ニワトコのことを接骨木というぐらい打ち身、打撲、リウマチ、骨折に良いといわれている。材を黒焼きにしたもの、あるいは枝・茎を煎じ煮詰めてアメ状にしたものを打撲症や骨折の湿布剤にする。

花はセッコツボクカ（接骨木花）、葉はセッコツボクヨウ（接骨木葉）根はセッコツボクコン（接骨木根）と言う。乾燥して細かく刻んだ枝葉は利尿作用がありむくみに使われる。関節に水が貯まっている時には、利尿効果から腫れがひき、痛みも薄らなど効果的。また慢性腎炎にも効果があるとも言われている。

花を乾燥させた接骨木花を煎じたものは、発汗、解熱や利尿などに効能がある。セイヨウニワトコが自生するヨーロッパでは昔から花を煎じ、発汗剤として風邪引きのとき解熱の民間薬として利用されてきた。体が温まり発汗するので風邪に効果があるという。

主要成分

　　　コリン、マレイン酸石灰、吉草酸、酢酸、精油、粘液、タンニンなど
　

主な作用と利用
　　　・発汗、解熱、むくみ、利尿に
　　　・打ち身、打撲
　　　・神経痛、リウマチに

－万葉集ー
"君が行き日長くなりぬ山たづの迎えを行かむ待つには待たじまたむ"　（巻２　９０）
　　迎えの枕詞につかわれる。
　　ニワトコの葉が対生し向かいあった状態に着目した万葉人の細やかな鑑識眼に元ずく短歌。

参考文献
　　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　　・万葉の植物　松田　修著　（保育社）

　　　・薬草・薬木の育て方　金井長治（成美堂出版）
　　　・植物分類表　　大場秀章　編著　（アボック社）

(コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、
近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧⅠが発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧⅢが発表されるに至っている。
その結果ニワトコ属はスイカズラ科からレンプクソウ科に移された。レンプクソウ科は従来、１属１種レンプクソウのみの科であったがスイカズラ科のガマズミ属もレンプクソウ科に移された。

ニワトコ（ 庭常 ）

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