クチナシ（山梔）

商品写真
上･中：大阪市立長居植物園　クチナシの花
下：春日大社　万葉植物園　クチナシの果実

クチナシ（山梔）Gardenia jasminoides Ellis
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids＞シソ群Lamiids
　　　リンドウ目Gentianales
　　　　　アカネ科 Rubiaceae　クチナシ属 Gardenia

　別名：センプク
黄色染料　食品の着色や布地の染色に
　　　
生薬名　　：サンシシ（山梔子）
利用部分　：�＿娘臓陛澆硫�色く熟した頃）　��花
利用　　　：�‘�本薬局方生薬　漢方処方用薬　食品　染色用色素に　��香料
名前の由来：果実が熟しても口が開かない事からクチナシ（口無し）。
　　　　　　生薬名、山梔子は果実が杯に似ていることから。古代中国で杯をあらわ　　
　　　　　　した「巵（シ：さかずき）」が旁になっている。
　　　　　　別名、センプクは潜伏のことで、実が口を割らないことからの名。

早春のチンチョウゲ、初夏のクチナシ、初冬のキンモクセイ、ともに香り高い花を咲かせ、季節の訪れを香りで知らせてくれる。開花期は梅雨の６月頃、真っ白い６弁の大きい花弁をつける。
学名 jasminoidesはジャスミンのようなという意味。
ジャスミンと近縁ではないがどちらも共通した香り成分インドールをもち、甘い香りがするのはこの成分のため。花の美しさ、香りのよさから観賞用に庭木に植えられる。晩秋には大きな実になり黄紅色に熟してくる。薬用にするのは熟したこの果実。

冬、黄赤色に熟した実を摘み取り２〜３分、湯に通して乾燥させたものが生薬の山梔子で日本薬局方にも収録されている。花の華麗さから八重咲きの園芸品種「ヤエクチナシ」が好まれるが、こちらは結実しないので薬用や食用にはならない。（一番下のPhoto）

漢方では鎮静、消炎、解熱、止血などに応用されている。又血液中の胆汁色素の量を調節する力があり、黄疸などに効果があるのは無論、急性･慢性肝炎、胆石症、胆のう炎などに適用される漢方処方に配合される。
打撲や腰痛、捻挫には粉末に少量のメリケン粉、卵白を練り合わせ冷湿布などの外用に利用する。

熟した果実をつぶし水に浸すと黄色い色素が溶け出す。カロチノイド系色素、クロシンで飛鳥・天平時代から布地の染色にも使われてきた。源氏物語にもクチナシ色と表現され昔から黄色染料として使われていた。
また鮮やかな黄色の色素は天然の無害な色素として食品の染料に使われる。栗きんとん、タクワンの黄色はクチナシで色づける。黄色の色素が溶け出した汁でご飯を炊くとクチナシ飯が出来る。

主な成分
　　　・イリドイド配糖体：
　　　　　　　　　ゲニポシド、ゲニピンゲンチオビオシド　、ガルデノシド　ジャンジシド
　　　・イリドイド：ゲニピン　
　　　・カロチノイド系色素：クロシン、クロセチン　　など
　主な効果
　　　胆汁分泌促進、鎮静、血圧降下作用、消炎、不安、不眠、肝炎、血尿、血便にも

　漢方処方例
　　　漢方処方用薬として消炎排膿薬、皮膚疾患用薬、尿路疾患用薬、精神疾患用薬　　
　　　とみなされる処方およびその他の処方に配合される。
　　　粉末は三黄散に用い外用することもある。
　　　
　　　・茵陳蒿湯　（いんちんこうとう）
　　　・黄連解毒湯（おうれんげどくとう）
　　　・温清飲　　（うんせんいん）
　　　・五淋散　　（ごりんさん）
　　　・加味逍遙散（かみしょうようさん）
　　　・荊芥連翹湯（けいがいれんぎょとう）
　　　・柴胡清肝湯（さいこせいかんとう）　
　　　・清上防風湯（せいじょうぼうふうとう）　
　　　・防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）
　　　・竜胆瀉肝湯（りゅうたんしゃかんとう）　　など

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物（朝日新聞社）
　　・第１５改正　日本薬局方解説書（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著（広川書店）
　　・植物分類表　大場秀章　編著（アボック社）



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