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ナンバンギセル(南蛮煙管)

商品写真
上・中:京都府立植物園 
ススキの根に寄生して咲くナンバンギセル
下:春日大社万葉植物園

ナンバンキセル(南蛮煙管)Aeginetia indica Linne
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
   シソ目Lamiales
     ハマウツボ科Orobanchaceae  ナンバンギセル属Aeginetia
  

   別名: オモイグサ(思草) オモイグサの名は万葉集より。

生薬名  :ヤコ(野菰)
利用部分 :全草(9〜10月)
利用法  :民間薬
名前の由来:ポルトガルなどの南蛮人がタバコをすう、キセルの雁首に似ていることから。

植物でありながら葉緑素を失い自身では光合成を行わず、他の植物に寄生したり、有機物を分解して生きる菌類と共生する腐生など、変わった植物がある。

ハマウツボ科も葉緑素を失い他の植物に寄生する集団の一つで、ナンバンギセルはススキやサトウキビなどのイネ科の植物の根に寄生する。

初秋になると褐色の燐片状の葉から花茎を伸ばし淡紫色の花を一輪、横向けややうつむき加減に咲かせる。

その風情ある様子が万葉集に
「道の辺の 尾花がしたの 思ひ草 今さらになど 物か思はむ」(10・2270)歌われる。
ススキの根元に生える思い草と作者自身の思いを重ねた巧みな表現とともに万葉人の細やかな観察眼、感性には感動する。

元々は熱帯性だが、フィリピン、インド、台湾、中国、日本の沖縄から北海道までだが幅広く分布する。


秋、全草を採取し乾燥し強壮強精に、咽喉の痛みなどに用いる。

参考文献
    ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
    ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
    ・万葉の植物 松田修著 (保育社)
    ・山渓名前図鑑 野草の名前 秋・冬 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
    ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


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