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イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)

商品写真
上:滋賀県 伊吹山 山頂
下:岩手県 早池峰 蕾のイブキジャコウソウ

イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)Thymus quinquecostatus Celakovsky
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
   シソ目Lamiales
     シソ科 Lamiaceae  イブキジャコウソウ属 Thymus 
  

日本産タイム、日本の自生種

生薬名  :イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)
利用部分 :全草   
利用   :民間薬 
名前の由来:滋賀県の伊吹山に多く自生しよい香りがすることから
      「じゃこう(麝香)」の名がある。

わが国の高山から亜高山の日当たりの良い草地や石灰岩、蛇紋岩、安山岩などの岩礫地に多く自生する。
地面を這うように枝を伸ばすほふく性で絨毯のように群生している。丈が低く、一見草のようにみえるが、多年生の低小木。茎は木化する。茎葉は麝香のような良い香りがすることからイブキジャコウソウの名がある。

ハーブとして世界中で栽培されているタイムの仲間、タチジャコウソウに似ている。日本に自生、分布する唯一のタイム。手で花の上を撫でると良い移り香がする

葉は卵形で5〜10mmと小さく、6〜7月淡い紅紫色のシソ科特有の唇形の花を枝の先端に咲かせる。

芳香成分はチモール、カルバクロール、パラ‐メシンなどの精油成分。開花期に地上部を刈り取り陰干ししたものを用いる。発汗作用があり風邪のときになどに良い

全体に精油含有量はタチジャコウソウ(英名:タイム)程ではないため、タイムのように料理のスパイスなどへの実用性には適さない。

近縁の亜種セルピルムsubsp.serpyllumはヨーロッパ中南部、北アジア、北米に自生し花期の全草をセルピルム草として鎮咳、発汗、駆風に、精油はケンデル油といい香りをつけた防腐剤や粘膜刺激剤として用いられている


成分
   チモール、カルバクロール、パラ‐メシン シメン ピネンリナロール


利用法
   発汗作用があり風邪に乾燥葉を用いるとよい。

―早池峰―
岩手県北上山地の主峰が早池峰。日本百名山の1つに数えられる。標高は1917mとそれほど高山ではないが大きな岩石が累々と重なる登山道が続く。岩石はカンラン岩、蛇紋岩でこの山特有の固有種が育つ環境を作っている。早池峰の山頂一帯は見事なお花畑が広がる。代表する花はハヤチネウスユキソウ、早地峰の名がつくこの山の固有種で、アルプスに咲くエーデルワイスに近い種として知られる。山頂からは八甲田山、岩木山などの東北の名峰が遠望できる。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・ヤマケイポケットガイド ハーブ 亀田竜吉(山と渓谷社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


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