シソ(紫蘇）

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上・中・下：武田薬品　京都薬用植物園　シソの花
下下：木曽路　馬籠宿　花後、果実が実る。

シソ(紫蘇）Perilla frutescens Britton var. acuta Kudo
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids＞シソ群Lamiids
　　　シソ目Lamialea　　　　　　
　　　　　シソ科 Lamiaceae 　シソ属 Perilla

　　　東洋のハーブ

生薬名　　：①ソヨウ（蘇葉）シソヨウ（紫蘇葉）②シソシ（紫蘇子）
利用部分　：①葉、枝先　②成熟した果実
用途　　　：①日本薬局方生薬　漢方処方用薬　②ソヨウの代用
名前の由来：シソ(紫蘇）の紫は葉の色を、蘇は食欲を高め、気をめぐらせ血を和し人　　

　　　　　　を蘇（よみがえ）らすことの意味から。

シソといえば梅干やシソ巻き、京都の柴漬けなどが思い浮かぶ。
草丈５０～１００ｃｍの1年草。中国中南部が原産とされているが、奈良時代に渡来し、以来薬用として、また貴重な香味料として各地で栽培されてきた。

花や葉の両面ともに紫色のものを単にシソまたはアカジソ、花の色が白く葉の両面共に緑色の品種をアオジソという。葉にちりめん状のちじれのあるものをチリメンジソといい、それぞれアカ、アオチリメンジソなどという。

日本薬局方生薬や漢方処方用薬のソヨウ（蘇葉）は葉両面が赤紫色の本種P.frutescens var. acuta とチリメンジソP. frutescens var. crispa f. purpurea の葉と枝先を用いる。梅干しの色付けに使われるシソという方が馴染みあるかもしれない。
赤紫の葉は塩で揉むと青紫色の黒い液がとれる。これと梅の酸を合わせると鮮やかな赤に発色する。

ソヨウ（蘇葉）の香りの主成分は精油、ペリラアルデヒドを主とするほかにリモネン、ピネンなどがふくまれ、解熱作用、抗菌作用、鎮咳、鎮静、鎮痛などの薬理学的作用が証明されている。果実はシソシ（紫蘇子）と呼ばれ同様の薬効がある。

またアオジソ（青紫蘇）は葉や花を香味野菜として刺身のつまや天ぷらなどにする「オオバ（大葉）」と呼ばれ薬味、食品に繁用されている。アオジソの葉からはシソ油が採取され主に菓子香料に使われる。シソはまさに薬食同源ということ言葉がピッタリの植物で東洋のハーブの代表種でもある。

ーシソの名の由来、故事ー
後漢末、洛陽の若者が蟹の食べすぎで食中毒を起こした。若者は死にかけていたが、名医・華佗が薬草を煎じ、紫の薬を作った。薬を用いたところ死にかけていた若者は蘇ったのに因んで、この紫の葉をソヨウ(蘇葉)というようになった。古代からカニやエビなどを食べて蕁麻疹（じんましん）が出た際に、生の紫蘇葉を大量に食べると良いとされている。

成分
　　・精油成分：、ペリラアルデヒド、リモネン、ピネン、オクタノール
　　・アントシアニン配糖体：シソニン
　　・フラボンノイド：アピゲニン、ルテオリン
　　・その他ロズマリン酸、
　　

　　　葉と実にはルテオリンという成分を含み、アレルギー疾患に有用として健康食品　　　　

　　　としても利用されている。

利用

漢方薬処方に配合

紫蘇葉は肺、脾に働き、発汗作用があり、解熱、鎮咳、健胃、利尿に有効で、鎮咳去痰薬、風邪薬とみなされる処方に配合される他、理気薬（気が停滞している状態を改善する薬物、精神を安定させる目的もある）、芳香性健胃薬に配合されている。

　　漢方薬処方例
　　　　・香蘇散　　　（こうそさん）、
　　　　・半夏厚朴湯　（はんげこうぼくとう）　
　　　　・神秘湯　　　（しんぴとう）
　　　　・蘇子降気湯　（そしこうきとう）
　　　　・参蘇飲　　　（さんそいん）
　　　　・杏蘇散　　　（きょうそさん）　
　　　　・霍香正気散　（かっこうしょうきさん）　
　　　　・鶏鳴散加茯苓（けいめいさんかぶくりょう）　　など
食品に
　　梅干しのシソ漬け、また乾燥して香辛料に利用される。
浴湯料に使用すれば神経痛、腰痛、精神安定に効果が、
薬用酒: 整腸、解毒用に常備

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・山野草ハンドブック　伊沢一男（主婦の友社）　
　　・ヤマケイポケットガイド　ハーブ　亀田竜吉（山と渓谷社）
　　・日本の薬草全書　中山草司　啓明書房
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）　

シソ(紫蘇）

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