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ハッカ(薄荷) 

商品写真
Photo:武田薬品 京都薬用植物園  輪散花序に咲くハッカの花

ハッカ(薄荷)Mentha arvensis Linne var piperascens Malinvaud 
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
   シソ目 Lamiales
     シソ科Lamiacea ハッカ属 Mentha

別名:メグサ(目草)、メハリグサ(目張草)

生薬名  :ハッカ(薄荷)ハッカ(薄荷葉)
利用部分 :地上部、葉
利用   :日本薬局方生薬、漢方処方薬、ハッカ油・ハッカ脳製造原料、ハッカ水原料、香料、
      健胃薬
名前の由来:中国の古いハッカに対する名のバッカ「菝活」から転じたと言われている。
      ハッカ属Menthaはギリシャ神話に登場する女神の名。冥界の神ハデスの妻ペルセポ
      ネにより、ハッカの草に変えられたことに因む名。arvensisは原野に生える、
      PiperascensはコショウPiper に似た香気の意味。

アジア東部温帯一体に広く分布し、日本各地にも自生する。古来から、薬用として利用されてきた多年生草本。湿地や小川の縁に野生もしていたが近年はめったにみかけない。主に薬用に栽培され、ランナーを出して繁茂する。生の葉で目の周りをこするとスウーッとし、目の病気に良いことからメグサ、またメハリグサとも呼ばれていた。

ハッカは漢方の要薬でもあり、日本薬局方に収載されている。欧米ではセイヨウハッカ(ペパーミント)がそれぞれの局方に収載されている。薬全草に強い芳香があり先のとがった楕円形の葉は対生する。

初夏から9月にかけて葉腋に輪状の輪散花序をだし、多数の小さい淡紫色の唇形花を付ける。花の蕾の頃が精油の含有量が最も多くなる。
着蕾期前後の茎葉を刈り取り、風とおしの良い所で干して乾燥する。太い茎は除く。緑色で香気の強いものが良品とされる。

ハッカは精油1%内外を含み、主成分はLメントール、その他シネオール、ピネン、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピペリテノン、プレゴンなど。
ハッカの香りは揮発しやすいので薄荷油を製造するには、刈り取ると直ちに水蒸気蒸留する。
ハッカを水蒸気蒸留すると黄緑色の1〜1.8%の精油が得られる。ハッカ取卸(とりおろし)油という。これを冷却すると無色針状結晶のメントール(ハッカ脳)が析出する。これを分離した残りの透明な液がハッカ油。清涼、食欲増進、異常発酵などに効果があり、芳香性健胃薬として胃腸薬に配合する。独特の清涼感から歯磨き、菓子などにも広く用いられる。また局所刺激剤として、ハップ剤、プラステーなどの製造に用いられる。


利用
漢方では解熱、発汗、健胃に、精神神経薬、消炎排膿薬とみなされる処方に配合される。
 漢方処方例
  ・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
  ・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)
  ・加味逍遙散(かみしょうようさん)
  ・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
  ・川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)  など

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著 (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社)
  ・ヤマケイポケットガイド ハーブ 亀田竜吉(山と渓谷社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)

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