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ミツガシワ(三槲)

商品写真
上:国立科学博物館附属自然教育園(東京都港区)
中:八幡平 下:立山 イワイチョウの花

ミツガシワ(三槲)Menyanthes trifoliata Linne
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
>キキョウ群Campanulids
   キク目Asterales
     ミツガシワ科 Menyanthaceae ミツガシワ属 Menyanthes

生薬名  スイサイ(睡菜)
薬用部分 :葉(夏期)
応用   :民間薬
名前の由来:水中に生え、3枚の葉が1つの支点から三方へ出ているのが、図案化さ  

      れた三つ柏の紋章に似ているため。本草綱目に「人をしてよく眠らしむ」気分

      が優れず眠れないときに根を用いると良い。という記載があり、睡菜の名はこ

      こからきている

ミツガシワ科はリンドウ科に近縁の科でこれまではその亜科として扱われていたが、種々の相違点から独立した科として扱われる。

世界的にみると北緯70〜35度付近に広く分布する典型的な極地周辺の植物のひとつ。本邦では北海道、本州、九州の平地から高山の湿地、水辺に生える。種子の化石が上部斬新世から洪積世にかけて発見されるなど古い時代から命をつないできた植物の1つ

地下茎は横にはって肥厚する。平地では5月頃、高山では夏に開花する。白色の花弁は深く5裂し、白毛が密生する。

此の科の植物体にはロガニン、ゲンチオピクリン、スウェルチアマリン類似の苦味のある配糖体を含むものが多く、苦味胃腸薬として用いられる。薬効は江戸末期にオランダの医師から学び取ったものでそれまで日本では薬用に用いていなかった。葉の乾燥葉をスイサイヨウ(睡菜葉)といい「苦味胃腸薬」として胃もたれ、腹痛に用いる
わが国ではあまり用いないが、ヨーロッパでは古来からの民間薬として親しまれている。睡菜の名が示すように催眠の薬にもなる。

夏季、葉を採取し、葉柄を束ねてつるすなどして乾燥させて用いる。

成分
 ・苦味配糖体:メリアチンなど
 ・アルカロイド:ゲンチアニン
 ・フラボノイド配糖体:トリフォリンなど 

 ・その他サポニン、精油、

利用法

 ・乾燥葉を苦味胃腸薬に


類似植物

イワイチョウ(岩銀杏)Fauria crista-galli Makino

  ミツガシワ科 Menyanthaceae イワイチョウ属Fauria

高山植物

北海道、本州北部、中部の高山や亜高山の湿原に生育する。全株が肉厚で葉がイチョウの葉に似ているのでその名がある。ミツガシワに似るが薬用にはならない。
岩手、八幡平は標高1,614 m。広い高原に無数の沼や湿原が点在し、多くの湿性植物が群生する。イワイチョウもその一つ。花はミツガシワに似よく似ているが、5弁状の花弁の縁が波打っているのがミツガシワと異なる。


参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・日本薬草全書 (新日本法規出版)
  ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)

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