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センブリ (千振)

商品写真
上・下:奈良 馬見丘陵公園 

センブリ(千振) Swertia japonica Makino  
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
   リンドウ目Gentianales    
     リンドウ科 Gentianaceae センブリ属Swertia 

  民間薬の代表的薬草。苦味チンキにも配合

生薬名  :トウヤク(当薬)
利用部分 :開花期の全草
利用   :日本薬局方生薬、民間薬、苦味チンキ原料、苦味健胃薬、整腸薬
名前の由来:千回振り出してもまだ苦いことから。

センブリはドクダミ、ゲンノショウコと並びかって民間薬として広く用いられてきた。
現在でも胃腸薬には必ずといってよいぐらい処方されている生薬。小種名 japonica の通り、日本固有の植物であり、生薬名「当薬」も和語である。


秋に紫色の筋のある白い小さな星状の可憐な花をつけるセンブリはかって日本の山野に普通に見られた。こうした野生品を採取し、古くから薬用に用いた代表的な薬草だが、近年自生は殆どみられなくなってしまった。薬用には主に栽培が行われている。秋、花の咲いている時期に根ごと堀おこして乾燥後遮光し保存する。健胃薬、整腸薬にする。
全草に苦味があるが、この苦味が効きめとなる。名前のセンブリ(千振り)は熱湯に浸し1千回振っても未だ苦味が残るほど極めて苦いとの意味。また当薬は「まさに当たる薬」の意味。良く効く薬の意味。まさにこの植物の特徴を良く現している。

苦味成分はスウェルチアマリン、スウェロシド、アマロゲンチン、ゲンチオピクロシドなどの苦味配糖体である。
近年、胃腸とストレスの関係が言われているが、センブリはトランキライザー的な働きもする。
精神的ストレスをもろに受ける脱毛、円形脱毛症の毛生え薬にセンブリが入っているのも肯ける。


苦味性の胃腸薬として唾液分泌、胃液の分泌促進、消化管の蠕動運動を亢進させる。日本薬局方収載の生薬で、全草を粉末にしたセンブリ末、センブリ・重曹散も局方に収載されている。苦味チンキはトウヒ(橙皮)センブリ(千振)、サンショ(山椒)の3種の生薬から作られる。黄褐色の液体で、芳香があり味は苦い。苦味健胃薬として用いられ、唾液、胃酸の分泌促進や消化管の蠕動を亢進させる。矯味、矯臭のため(薬を飲みやすくする)多剤と配合するのに用いられる。漢方処方には組み入れられない。

主な成分
  苦味配糖体:スウェルチアマリン、スウェロシド、アマロゲンチン、ゲンチオピクロシド
        キサントン、ベリジホリン

応用
 ・苦味胃腸薬、整腸薬としてセンブリ1日量1.5g(最大量)を煎薬又は振り出して用いる
 ・胃弱、食欲不振、胃部・腹部棒満感、消化不良、飲みすぎ、食べ過ぎ、胃のむかつきに。
 ・育毛剤に配合

苦味チンキ 一名健胃チンキ
日本薬局方収載
トウヒ、センブリ、サンショウ、エタノールを原料にチンキ剤にしたもの。
  ・ サンショウの精油と辛味物質により刺激作用、トウヒ、センブリの苦味質による反射作用で
   唾液、胃液などの消化液に分泌を促進する。また、消化管運動を亢進し食欲を増進させる。
  ・矯味、矯臭の目的で苦味健胃薬の調剤に用いられる。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 秋・冬 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・薬になる花 田中孝治    (朝日新聞社)
  ・心と体をすこやかにする ハーブ・香草の楽しみ方 小黒 晃監修 (小学館
  ・日本の薬草全書 中山草司 啓明書房
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)



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