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イチヤクソウ（一薬草）

商品写真
上：八甲田
下：木曽駒ケ岳　千畳敷カールのベニバナイチヤクソウ

イチヤクソウ（一薬草）Pyrola　japonica 　Klenze　
　　真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク亜綱Asteridae　
　　　ツツジ目Ericales　
　　　　　ツツジ科　Ericaceae　イチヤクソウ属 Pyrola

可憐な山野草

生薬名　　：ロクテイソウ（鹿蹄草）
利用部分　：花期の全草
利用　　　：民間薬
名前の由来：薬に用いる、薬草として優れているという意味

イチヤクソウ属の代表種、イチヤクソウは我が国各地の山林の林の中に自生する常緑の多年草。
日本列島の他に朝鮮半島、台湾、中国東部に分布する。

６〜７月にかけて、葉の間から長さ２０ｃｍ前後の花茎を伸ばし梅の花に似た白い数個の花をうつむき加減に咲かせる。雄しべは１０本で花糸は受精を助けるため一方向に曲がる。雌しべの花柱は長く湾曲し花の外へ突き出した特異な形をしている。

いかにも山野草愛好家が好みそうな風情ある様子だが栽培は非常に難しい。

根毛が発達せず、菌類と共生することで栄養を得る菌根植物であるため、同じような条件を作ることは極めて難しい。
地中に細長い地下茎を伸ばして所々で芽を出して葉と花を付け繁殖する。
葉は厚く艶があり、長い柄がある根生葉、根元に集まって付く。葉の艶と形からカガミソウ(鏡草）と呼ばれることもある。


イチヤクソウ（一薬草）はその名が示すように薬草として花の咲く時期の全草を採取し乾かしたものをロクテイソウ（鹿蹄草）と呼び薬用に使用される。
配糖体ピロラチン、アルブチン、ウルソール酸などのほか、タンニンなどを含んでいる。利尿作用があり脚気やむくみに利尿剤として、また民間療法では生葉を揉んで切り傷、毒虫に刺され時などにもちいる。

本種にはマルバノイチヤクソウ、ベニバナイチヤクソウなどの近似種がある。
ベニバナイチヤクソウPyrola incarnata Fisch は亜高山や深山の林床で見られることが多い。花は花茎の先に８〜１５個位、ピンク色ン花を咲かせる。イチヤクソウより北の方に広く分布する。


参考文献
　　　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　　　・野草図鑑の夏編　　（北隆館）
　　　　・山野草ハンドブック　伊沢一男（主婦の友社）　
　　　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）


(コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ�気�発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧ�靴�発表されるに至っている。
その結果イチヤクソウ科はツツジ科に統合された。他にもツツジ科にはガンコウラン科、シャジクソウ科などが繰り込まれ、ツツジ科は大きな科になった。

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