サンシュユ（山茱萸）

商品写真
上・中：京都薬科大学附属薬用植物園　サンシュウの花
下：宇治植物公園　サンシュウ赤く熟した果実

サンシュユ（山茱萸）Cornus officinalis　Siebold et Zuccarini　
　　真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots ＞キク亜綱Asteridae
　　　ミズキ目Cornales
　　　　　　　ミズキ科　Cornaceae 　　ミズキ属 Cornus

生薬名　　：サンシュユ　（山茱萸）
利用部分　：種子を抜き取った果肉
利用　　　：日本薬局方生薬、漢方薬処方生薬
名前の由来：中国名「山茱萸」の音読み。茱萸とはゴシュユ（呉茱萸）の別名。

　　　　　　また日本では「グミ」のことを茱萸という。秋にゴシュユ（またはグミ）のような

　　　　　　赤く熟した果実を実らせることからの名。


早春の花は黄色の花で始まる。早春を代表する黄色の花木といえば、山ではマンサク、庭ではサンシュユ、レンギョウを思い浮かべる。
春の訪れを告げる花木として現在は、庭や公園に良く植えられる落葉小高木だが、それほど昔から日本にあったわけではなく、江戸時代半ばの享保７年（１７２２年）に朝鮮から果実が薬用として渡来したのが最初といわれる。
秋１０月頃、グミに似た赤い実つける。

薬用には実の種を除いた果肉だけを日干しにしたものをサンシュユ （山茱萸）として用いる。噛むと渋味のある甘酸い味がする。

日本薬局方収載の生薬であり漢方処方用薬として保健強壮薬とみなされる処方に配合される。病後の滋養強壮、疲労回復、冷え性、低血圧、糖尿病、不眠症などの効果があるということだ。又果実を漬け込み果実酒にすると疲労回復、滋養強壮に良い薬用酒になる。


成分
　　・イリドイド(iridoid）配糖体：モロニシド(morroniside）、ロガニン(loganin）
　　・セコイリドイド(secoiridoid）配糖体：スウェロサイド(sweroside）
　　・トリテルペン(triterpene）：ウルソール酸、オレアノール酸
　　・有機酸：リンゴ酸、酒石酸、没食子酸など
　　・タンニン：トラパインなど

代表的な配合漢方処方
　　・八味地黄丸（はちみじおうがん）
　　・六味丸　　（ろくみがん）
　　・牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）

薬用酒
乾燥した山茱萸２００ｇ、グラニュー糖２００ｇ、ホワイトリカー１.８Ｌにつけ２〜３カ月冷暗所に保存。布でろ過し保存。美しい赤い色がついた薬用酒が出来上がる。


参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著（広川書店）　

　　・生薬単　原島広至著　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・花と樹の事典　木村陽一郎　監修　（柏書房）
　　・山渓カラー名鑑　日本の樹木　（山と渓谷社）
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）


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