ハナイカダ(花筏)

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上：鳥取県大山　阿弥陀堂付近の林中　ハナイカダの雌花
下：京都府立植物園　ヒマラヤハナイカダ

ハナイカダ(花筏) Helwingia japonica F.G.Dietr
　　真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots ＞キク類Asterids
　　　＞キキョウ群Campanulids　　　
　　　　モチノキ目Aquifoliales　　　
　　　　　　ハナイカダ科 Helwingiaceae　ハナイカダ属Helwingia
　　

　　　別名：ママッコ、ヨメノナミダ

利用部位 ：若葉、葉
利用　　　：山菜、民間薬
名前の由来：花の載った葉を筏に見立てたもの。
　　　　　　実を米粒に見立ててママッコ。丸い粒が涙に見えることからヨメノナミダに。

花筏とは、なんとも情緒のある名がつけられているこの植物は、日本全土の山地の林や、渓流沿いなど湿った木陰に自生する。
雌雄異株で樹高１～３ｍほどの落葉低木。春３～５月初め、葉の上に雌株は緑色の花弁が４枚、雌蕊の柱頭が４裂する花を１個、まれに数個を、雄株は花弁が４枚、雄蕊は４本の数個の小さな淡緑の花を咲かせる。

花は本来枝の先に着くのが普通だが、極めて珍しい形をしている。之は花の花軸と葉の中心を通る葉脈(主脈）が合着してあたかも葉に花が咲いているように見えるだけだそうだ。

夏、雌株の花に実が付く。最初は青いが次第に黒くなる。黒くなった実は食べられる。甘く美味しい。小鳥も好んで食べる。黒い丸くなった実がいつの間にか無くなっているのは小鳥たちが食べてしまったのかもしれない。

地方の方言でハナイカダをママッコというところもある。若葉をゆでて、ゴマあえ、くるみあえなどの和え物、テンプラや、おひたしにすると美味しい。花が咲くまでの若葉の頃採取すると良い。主に山菜としての利用が主だが、葉を下痢止めに利用することもある。

同属植物

ヒマラヤハナイカダ　Helwingia 　himalaica Hook.f.et.Thoms
　　　　　　　　ハナイカダ科 Helwingiaceae　ハナイカダ属Helwingia

ハナイカダ属Helwingia に葉の細い品種のホソバハナイカダがある。奄美大島から沖縄にかけて自生するリュウキュウハナイカダ（琉球花筏）は葉がやや厚く細長い。ハナイカダの変種とされている。台湾にはタイワンハナイカダ（台湾花筏）が自生する。
また中国の四川、雲南省にはヘルウィンギア・シネンシス、ヒマラヤにはヘルウィンギア・ヒマライカ（ヒマラヤハナイカダ）が自生し、両方とも葉は細く実は黒くならず、赤くなるのが特徴。
属名Helwingia ヘルウィンギアはドイツの医師ヘルウィングの名に因む。
ヒマラヤハナイカダは４～５月頃うす緑色か、淡い薄紫の花を葉の上につける。
乾燥は好まないのか、ここ京都府立植物園では、他の木々が茂った木陰の中に植栽されていた。

参考文献
　　　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　　　・花と樹の事典　木村陽一郎　監修　　（柏書房）
　　　　・美味しい山菜　おくやまひさし（文一総合出版）
　　　　・山渓カラー名鑑　日本の樹木　（山と渓谷社）
　　　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）
（コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧⅠが発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧⅢが発表されるに至っている。
その結果従来の分類ではミズキ科に属していたアオキ属、ハナイカダ属、ハンカチノキ属などはＡＰＧⅢによる分類では別の科に移された。
ハナイカダ属はハナイカダ科に格上げされ、キキョウ群モチノキ目の中に移された

ハナイカダ(花筏)

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