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トウキ/ヤマトトウキ(大和当帰)

商品写真
上・中:丹波市立薬草薬樹公園 ヤマトトウキ
下・下:武田薬品京都薬用植物園  ヤマトトウキの花

トウキ/ヤマトトウキ(大和当帰)Angelica  acutiloba Kitagawa
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
  >キキョウ群Campanulids
   セリ目Apiales
     セリ科Umbelliferae シシウド属 Angelica 


病気が回復し健康に帰る、婦人薬の要薬

生薬名  :トウキ(当帰)
利用部分 :根
利用   :日本薬局方生薬 漢方処方用薬
名前の由来:諸説あるが実家に帰ってきた嫁が元気になり夫のもとへ「まさ(当)に帰

      るべし」と母に言われたという説もあるなどいずれの説もトウキが婦人薬と  

      して繁用されたこと示唆している。

シシウド属の中には薬用にするものが多い。ミヤマトウキ、イブキトウキなどの野生種もあるが、現在はほとんど採り尽くされ見ることができず、主に北海道や奈良、和歌山地方では根を薬用にするため栽培される。

日本産のトウキはヤマトトウキ(ニホトウキ、オオフカトウキ)とホッカイトウキの2系統が知られている。ホッカイトウキの茎は緑色をしているが、ヤマトトウキの茎は紅紫色をしているので区別できる。
特に奈良県大深地方、和歌山県富貴地方で生産される当帰は品質がよく、独特の強い芳香が全草から香り立つ、大深トウキの名で知られる。漢方薬特に婦人薬の香りは、配合されている「トウキ」の香りによるもの。
「大深トウキ」は山間部の傾斜地、水はけのよい斜面の畑で栽培されている。収穫までには植え替えや手間をかけた修治が行われ、数年かけた根を薬用にする。


婦人薬にはなくてはならない生薬で鎮静、鎮痛、補血、強壮、血行障害、鎮静薬として婦人科の漢方処方に必ず配合されている。体を温め、血を増やし血行障害を取り除く作用があり、虚弱体質の病気に応用される。
妊婦の浮腫、腹痛、月経痛、鎮静、通経、冷え性、血行障害、頭痛、貧血など、特に産前産後の体調管理に優れている。そのほか、保健強壮薬、精神神経用薬、尿路疾患用薬に配合されるなど、極めて利用頻度の高い生薬で、漢方処方薬に、家庭薬に、浴湯料に広く応用される


成分
精油に富み、特有な芳香成分としてフタリド系化合物である
  ・精油:リグスチリド、ブチリデンフタリド、 ブチルフタリド、サフロールを含む。
  ・脂肪酸:パルミチン酸、リノール酸
  ・クマリン誘導体:ベルガプテン、スコポレチン

用途
漢方処方薬に特に婦人薬、冷え性用薬、保健強壮薬、精神神経用薬、尿路疾患用薬とみなされる処方その他の処方に配合される漢方生薬の中でも極めて使用頻度の高い生薬。
 配合漢方薬例
  ・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  ・女神散  (にょしんさん)
  ・加味逍遙散(かみしょようさん)
  ・温清飲  (うんせいいん) 
  ・牛膝散  (ごしっさん)
  ・四物湯  (しもつとう)
  ・当帰散  (とうきさん)
  ・五積散  (ごしゃくさん)
  ・当帰四逆湯(とうきしぎゃくさん)    

                          など   
薬用酒 トウキ酒 
  当帰は油脂成分も多いため薬用酒にして服用するとさらに効果が期待できる。
  ホワイトリカーと砂糖とともにつけると淡黄色の独特の香り高いトウキ酒ができる。
  体を温め、血行を良くします。便秘にも効き目があります。
浴剤に
  からだが温まり、ひび、しもやけによく美肌効果もある


参考文献
   ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
   ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
   ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
   ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
   ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
   ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)


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