スイカズラ (吸葛)

商品写真
上:関越道 横川サービスエリア
下:文京区 小石川植物園 スイカズラの花と蕾

スイカズラ (吸葛)Lonicera japonica Thunberg
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
 >キキョウ群Campanulids
   マツムシソウ目Dipsacales
     スイカズラ科 Caprifoliaceae スイカズラ属 Lonicera 

生薬名   :①ニンドウ(忍冬) ②キンギンカ(金銀花)
利用部分 :①葉・茎 ②花
利用   :日本薬局方生薬(葉・茎のニンドウ)、民間薬、漢方処方用薬、健康茶、   

      浴剤
名前の由来:スイカズラは花を口にくわえて蜜を吸うことに由来するとも、花弁を吸うときの唇の
      形に似るという説など。
      ニンドウ(忍冬)は常緑で冬でも落葉しないことから。
      キンギンカ(金銀花)は咲き始めは白色の花が次第に黄色くなるための名。


日本全土の山野に、ごく普通に見られる日本原産のつる性植物。初夏、ジャスミンに似た甘い香りがする上下に大きく2裂した2唇形の花が生け垣などに咲いているのをよく見かける。はじめは白色の花が2~3日で淡黄色に変わり、白花、黄花が混じって咲くように見える様子が金銀に見立てられ金銀花とも言う。
この花の蜜が甘く、よく子供たちが吸ったことからスイカズラ「吸い蔓」と名付けられたとの説。
また、茎に対生した葉は冬でも枯れずに外側に巻き込んで、寒さに耐え忍ぶ。このため茎葉は忍冬と名付けられるなど、3通りの呼び名を使い分けて、それぞれの様子を表現している。これらの名前の由来に、成る程なあ~と先人の植物を見る観察の細やかさに感心させられる。

秋または冬に葉のついた蔓を刈り取り、日干ししたものが生薬のニンドウ(忍冬)。花を採って乾燥させたものが生薬のキンギンカ(金銀花)で共に利尿、解毒、消炎、抗菌、健胃、解熱に効果があり、神経痛、リウマチ、関節炎などに煎じて利用される。漢方では解熱、解毒、抗菌作用から化膿性の炎症に用いられる処方に配合されている。

日本でも、古くから健胃、利尿薬として民間薬で繁用される。浴剤にすると体が温まり腰痛、痔の痛みに良い。また葉を干してお茶にして「忍冬茶」、お酒に花を入れて「忍冬酒」を作るなど用途がひろい。

主要成分
   ・イリドイド配糖体:ロガニン
   ・フラボノイド  :ロニセリン、ルテオリン 
   ・フェノール誘導体:カフェ酸
   ・アルカロイド  :ベネトルピン  
   ・その他 タンニン、サポニン、ミリスチン酸、エライジン酸、リノレイン酸、

     リノール酸など
主な作用と使い方
    はれものの解毒、抗菌、関節が痛む時、消炎解熱作用があるので神経痛、リウ  

    マチなどに応用される。
    
    浴剤には50~100gを木綿の袋に入れて煮出た煮汁をお風呂に入れて、入浴  

    すると腰痛や痔の痛みに、また湿疹、あせも、ただれに効くなど、皮膚を美しくし   

    美容効果がある。 
漢方処方例
    忍冬を処方

       ・治頭瘡一方(じずそういっぽう)
    金銀花を処方

       ・荊芥敗毒散(けいがいはいどくとう)
参考文献
    ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
    ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
    ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
    ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
    ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
    ・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
     ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修  (柏書房)
    ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)


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