アカヤジオウ（赤矢地黄）

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Photo：武田薬品　京都薬用植物園　　　　　　　　　　　

アカヤジオウ（赤矢地黄）Rehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids＞シソ群Lamiids
　　　シソ目Lamiales
　　　　　オオバコ科　Plantaginaceae レーマンニア属（アカヤジオウ属）Rehmannia

漢方の重要な薬用植物

生薬名　　：ジオウ（地黄）
利用部分　：根　　
利用　　　：日本薬局方生薬　漢方処方薬
名前の由来：中国の名医別録に「土地の黄色い処のものを佳しとする」とあり

　　　　　　黄土地に産するものを賞用したので地黄。

　　　　　　又、生のものを水に浸けて浮くものを天黄、浮いたり沈んだりするものを人黄、

　　　　　　沈む物を地黄、沈むのものを良品とするという、古伝からきたとも。

中国北部から内モンゴル、中国東北部、中北部に広く分布する多年草。日本には自生しない。赤褐色の肥大した根が長く地中に伸びる。この根茎を中国では地黄と称し重要な薬物としてきた。日本へは古くから渡来し、記録によると平安時代にはサオヒメ(左乎比米)の和名でジオウが見られる。
本邦では、北海道、奈良県下で小規模に栽培されている。

薬用には肥大した根が用いられる。生のままを生地黄、日干し乾燥したものを乾地黄、酒につけ蒸すなど加工調整し、乾燥させた黒質化し粘質のものを熟地黄という。

それぞれ成分的にも異なり厳密には用途目的によって使い分けられる。
生地黄、乾地黄は冷やし血証や水病に、熟地黄になると温め補血作用に優れるようになる。
ジオウは補血、強壮、止血、滋潤、解熱、止渇などの効があることから滋養強壮、尿路疾患、皮膚疾患、婦人病とみなされる多くの処方に配合されている。

成分
　　　・生地黄ではイリドイド配糖体（カタルポール、レーマニオシドＡ～Ｄ）、

　　　　糖類（スタキオース）
　　　・乾、熟地黄ではイリドイド配糖体は減少しセレブロシド、アクテオシドが生成し

　　　　単糖、オリゴ糖などが増加する。その他、糖類、アミノ酸、リン酸などが含まれる

漢方処方

　　　ジオウ（地黄）は単体で使用されるよりも主に漢方処方に配合される。処方によ　　　

　　　り、生、乾、熟地黄を使い分ける。
例
　　　・生地黄：熱を解しお血を消す（清熱涼血）から

　　　　　　　　　炙甘草湯（しゃかんぞうとう）などに
　　　・乾地黄：血を滋し虚を補う（滋陰養血）から　

　　　　　　　　　八味地黄丸（はちみじおうがん）

　　　　　　　　　牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）

　　　　　　　　　三物黄?湯（さんもつおうごんとう）　

　　　　　　　　　?帰膠艾湯（きゅうききょうがいとう）などに
　　　・熟地黄：膚を潤し腎気の虚を補う（滋陰補血）から

　　　　　　　　　四物湯（しもつとう）、

　　　　　　　　　十全大補湯（じゅうぜんだいほとう）

　　　　　　　　　?帰調血飲（きゅうきちょうけついん）、

　　　　　　　　　人参養栄湯（にんじんえいようとう、）

　　　　　　　　　七物降下湯（ひちもつこうかとう）

　　　　　　　　　六味地黄丸（ろくみじおうがん）

　　　　　　　　　大防風湯（だいぼうふうとう）などに配合される。

参考文献
　　　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　　　・生薬単　原島広至著　　　　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）

(コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧⅠが発表されされてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧⅢが発表されるに至っている。
その結果、従来ゴマノハグサ科とされていた多くの属は再編され、ジキタリス属やレーマンニア属などはオオバコ科に移された。

アカヤジオウ（赤矢地黄）

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