クコ（枸杞）

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Photo:武田薬品　京都薬用植物園
上：クコの花と実、中：クコの熟した実、下：クコの花

クコ（枸杞）Lycium chinense　Miller　
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids＞シソ群Lamiids
　　　ナス目Solanales
　　　　　ナス科 Solanaceae 　クコ属 Lycium

生薬名　　：①クコシ（枸杞子）　②クコヨウ（枸杞葉）　③ジコッピ（地骨皮）
利用部位　：①果実　②葉　③根皮、　　
利用　　　：薬膳料理、健康食品、民間薬、漢方薬
名前の由来：カラタチ（枸橘）のようにトゲがあり、ヤナギ（杞）のように枝がしなやかなため、
　　　　　　枸杞と名づけられた。

クコはその優れた効果から大変なブームを呼んだ時期があった。現在も根強い人気のある薬樹として葉、果実、根など幅広く利用される。
元来、中国の古典書「神農本草経」にも登場するほどで、古くから紹介されている。
日本、韓国、台湾など各地の山野、川辺、海岸などに自生するナス科のつる性の落葉低木。若い枝は長く弓なりに伸び先端が垂れ下がる。小枝がトゲに変化したものもある。夏、淡紫色の花を咲かせ秋、楕円形の赤い実になる。ナスの花を小さくしたような可憐な花でクコがナス科だということを実感させられる。

実を乾燥させたものがクコシ（枸杞子）でルチンやタンニンなどのポリフェノール、ビタミンC、カロチノイド色素成分であるゼアキサンチンが豊富に含まれており、これらの成分は強い抗酸化作用を持っている。薬膳料理杏仁豆腐などに添えられる。
ホワイトリカーや焼酎につけるとクコ酒ができる。体質の疲労回復や強壮薬の薬酒として飲用される。葉を生薬ではクコヨウ（枸杞葉）といいルチン、ベタイン、グルコシド、β-シトステロール、ビタミンＢ１、Ｂ２、Ｃを含む。

６～７月ごろ刈り取り陰干しにクコ茶として常用すると動脈硬化の予防になる。若葉はご飯に炊き込んでクコ飯にし、又ゆでてお浸しにして食べると美味しい。
クコの根は骨のような形をしているため、根の皮を乾燥させて物をジコッピ（地骨皮）といい、漢方では消炎、解熱、糖尿病、利尿、動脈硬化に用いられる。

漢方では全身倦怠感があり、口や舌が乾き尿の出が悪く残尿感のある場合に用いられる「清心蓮子飲」にジコッピ（地骨皮）が配合される。慢性の咳、痰の症状に用いられる滋陰至宝湯にも配合される。

繁殖力が強く簡単に株分けやさし木でも増えるので是非利用したい薬樹だ。

主な成分
・葉はクコヨウ（枸杞葉）：フラボノイド配糖体（ルチン）、ベタイン、　グルコシド、　　　
　　　　　　　　　　　　　βシトステロール、ビタミンＢ１、Ｂ２、Ｃなど
・果実はクコシ（枸杞子）：ルチンやタンニンなどのポリフェノール、ビタミンC、カロチノ　　
　　　　　　　　　　　　　イド色素成分（カロチン、ゼアキサンチン、フィサリエン）
・根皮はジコッピ（地骨皮：ケイヒ酸、ベタイン、β-シトステロール、リノール酸、
　　　　　　　　　　　　　メリシン酸など
主な効果と利用
　　滋養強壮、疲労回復、消炎、解熱作用などがあり、民間薬として、漢方処方薬として用いる。
　　健康茶、薬膳料理　薬用酒などにも利用される。
漢方処方例
　　・清心蓮子飲（せいしんれんしいん）
　　・滋陰至宝湯（じいんしほうとう）

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・薬になる花　田中孝治　　　　(朝日新聞社)
　　・日本の野草全書　中山草司　啓明書房
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）

クコ（枸杞）

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