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タバコ(煙草)

商品写真
上・下:武田薬品 京都薬用植物園     

タバコ(煙草)Nicotiana tabacum Linne
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids   ナス目Solanales
     ナス科Solanaceae  タバコ属 Nicotiana

生薬名  :タバコ
利用部位 :葉   
利用   :タバコの原料。喫煙、嗜好品 、農用殺虫剤
名前の由来:スペイン語やポルトガル語の"tabaco"から

タバコの原産地は南米アンデスの標高2000〜3000mの高原地帯とされている。コロンブスがスペインを出発し、1492年カリブ海の島に上陸した時、原住民が喫煙しているのを見て驚いた。当時すでに新大陸では喫煙の習慣があったことが推察される。コロンブスはタバコを持ち帰ったが、当時は現地住民の風俗を紹介するに止まっていて、観賞用や薬草としてみなされていた。
喫煙の風習は、新大陸への移民団の間で広まりその後次第にヨーロッパに普及していった。


日本への渡来は諸説あるが、南蛮貿易によってもたらされたと言われ、江戸時代には広く一般に喫煙の風習が広まっていった。タバコの伝来について芥川龍之助は「煙草と悪魔」という短編を書いている。
煙草をもたらしたのはフランシスコ・ザビエルの伴の伊留満の一人に化けた悪魔だとした設定をしている。興味深い内容だ。


タバコは1年生の草本で草丈2m前後にまで成長する大振りな植物。初夏、茎の先端に淡いピンク色の筒状の合弁花を多数咲かせる。花は日中開き、夜閉じる。
花の蕾が1輪咲いた頃、葉にニコチンなどの有効成分、香味成分を集めるため摘花し芯止めする。
葉が成熟すると葉を収穫し、乾燥させ加工等の工程を経てタバコの原料にする。葉には主成分、ニコチン、ノルニコチン、アナバシンなどが含まれる。


喫煙が習慣となるのは燃やした煙の中に含まれるニコチンによる。ニコチンは喫煙により、口腔、気管、胃、皮膚などから吸収され、初め興奮作用、ついで鎮静作用が現れる。やがて繰り返し使用したいという願望がおき依存症になる。


近年タバコの害、発がん性やタバコ病と称されるCOPD(慢性閉塞性呼吸器疾患)等がいわれ、禁煙運動が盛んに行われ、愛煙家は減少してきている。


参考文献
    ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
    ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
    ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
    ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修  (柏書房)
    ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


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