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ヒヨス 

商品写真
上:武田薬品 京都薬用植物園
下:日本新薬 山科植物資料館 

ヒヨス Hyoscyamus  niger Linne
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
   ナス目Solanales
     ナス科 Solanaceae ヒヨス属 Hyoscyamus

植物由来医薬品

アトロピン硫酸塩やスコポラミン臭化水素酸塩などの起源植物

生薬名  : ヒヨス
利用部分 :葉、茎
利用   :アトロピン、ヒヨスチアミンなどの植物起源医薬品原料
名前の由来: 学名(属名)のヒヨスチアムス(Hyoscyamus)の頭の部分が和名になった。


ヨーロッパ原産のナス科の2年草。熱帯、極地を除いて世界各地で栽培される。本邦ではわずかに薬用として厳重な管理のもとで栽培されているのみ。
葉をヒヨスHyoscyamus 、Hyosciami Foliumという。古代ギリシャの時代から有毒植物として知られている。
反面、”毒を変じて薬と為す”のとおり、その成分は有用な医薬品の原料(アトロピン硫酸塩やスコポラミン臭化水素酸塩など)となる。

微量で副交換神経を麻痺させ平滑筋を弛緩させる作用を持っており 鎮痛、鎮痙、鎮静薬として胃痙攣などの医薬品に応用される。
このほか、喘息の発作、モルヒネ中毒の治療などにも応用される


ヒヨスの草丈は30〜60cm位。葉は長卵形で浅く羽状に裂け、粘着性のある軟らかい毛が密生する。夏、ろうと状で切れ込みのある淡黄色の花を穂状に咲かせる。
花には紫色の網目の脈があり、中心部は紫色である。いかにも曰くありげな花である。同じような仲間にハシリドコロ、チョウセンアサガオ、ベラドンナがある。


中国にヒヨスの変種シナヒヨス Hyoscyamus nigerL.var. chinensis Makinoがありこれを漢名でロウトウ(莨菪)と呼ぶ。狂気のさまの意で、中毒により幻覚症状などの人間の理性を損なう様子をあらわしている。

主な成分
  ヒヨスチアミン、スコポラミン、アトロピン、アポアトロピン、スキミアニン

主な作用
  ・コリン作用があり、鎮痛、鎮痙、鎮静薬として、胃・十二指腸潰瘍の分泌、

   運動亢進、胃腸の痙攣性疼痛に用いられる。
  ・硫酸アトロピン製剤は有機リン系薬物の解毒薬として常備される。


参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)   


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