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ボウフウ(防風) 

商品写真
Photo:大阪薬科大学 薬用植物園 複散状花序に多くの白い5弁の小花が咲く

ボウフウ(防風)Saposhnikovia divaricata Schischkin
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
>キキョウ群Campanulids
   セリ目Apiales
     セリ科Umbelliferae  ボウフウ属 Saposhnikovia
 
生薬名  :ボウフウ(防風) 
利用部分 :根、根茎 
利用   :日本薬局方生薬、漢方処方用薬、薬用
名前の由来:風邪を防ぐことから名づけられた。風邪の治療薬、予防薬に用いられる。

シベリア、華北、蒙古などに自生する多年生草本。
享保年間、中国から薬用として渡来した。江戸官園や奈良県大宇陀森野薬園で栽培された。

当時の中国からの伝来種を系統保存したボウフウを藤助防風、宇陀防風と称す。(森野旧薬園の始祖、森野藤助は多くの薬用植物の栽培に尽力し、栽培の困難であったボウフウの栽培にも成功した。こうした功績をたたえた名称)。

日本では藤助防風は希少で、かつてはイブキボウフウ(伊吹防風)を代用品として用いていたが、伊吹山では採り尽くされて、現在ほとんど見ることはできない。

代わりにハマボウフウがボウウフの代用に用いられる。しかしボウフウの茎は直立し、高さが1m程、枝分かれが多く、葉は2〜3回羽状複葉に細裂し小葉は細く尖る。夏、枝分かれした茎の先に複散形花序を頂生し、多数の白い5弁の小さい花を1個の小散形花序当たり4〜9個程咲かせる。その様子は代用に用いられるハマボウフウと草姿、花、葉ともに全く似ていない。成分的にも異なる点もある。
ハマボウフウ(浜防風)、ボウフウ(防風)ともに日本薬局方生薬だが、ボウフウ(防風)は本種の根及び根茎で、代用にするハマボウフウ(浜防風)のボウフウと区別する意味から“真防風、唐防風“と称すこともある。 


漢方ではボウフウ(防風)を配合する頻度は比較的高く、皮膚疾患、消炎排膿薬、鎮痛薬とみなされる処方に配合される。発汗、解熱、鎮痛、鎮痙のために用いられる


成分
  ・クマリン配糖体:フラキシジン、イソフラキシジン、スコポレチンソラレン、

           ベルガプテン、デルトイン
  ・クロモン誘導体:ハマウドール、シミフギン
  ・多糖:サポシニコバンA〜C

漢方処方
解熱、鎮痛、鎮痙薬また消炎排膿があり皮膚疾患用薬として幅広く配合される。

 漢方薬処方例 
  ・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)当
  ・駆風解毒散(くふうげどくとう)
  ・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
  ・清上防風湯(せいじょうぼううふとう)
  ・釣藤散  (ちょうとうさん)
  ・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)        など
   
参考文献
   ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
   ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
   ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
   ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
   ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
   ・物植分類表大場秀章 編著 (アボック社)


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