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ヨロイグサ(鎧草)

商品写真
上・中:大阪薬科大学薬用植物園 ヨロイグサ花 
下:武田薬品京都薬用植物 蕾 

ヨロイグサ(鎧草)Angelica dahurica Bentham et Hooker filius ex Franchet et Savatier
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
>キキョウ群Campanulids
   セリ目Apiales
     セリ科Umbelliferae シシウド属 Angelica

生薬名  :ビャクシ(白芷)
利用部分 :根
利用   :日本薬局方生薬、漢方処方薬
名前の由来:鋸歯(葉の縁のギザギザ)のある葉の重なり具合が武士の鎧に似ていることから。
      白芷の芷は中国ではヨロイグサの意味。


シベリア、中国、朝鮮半島、日本に分布し本邦の山地の湿地に自生する多年草。
種小名の dahuricaは「シベリアの、シベリア産の」の意味。ラテン語でシベリアの事を dahuriaといい、シベリア南東部モンゴル系のダフリア人に因んだ。高さ1〜3mに達する。基部の太さは7〜8cm。紫色を帯びる。シシウドと良く似て壮大な姿をしている。
葉もシシウドとおなじ2〜3回3出羽状複葉だが小葉が小さい。又細長く縁がザラついている。シシウドほど自生しているのを見かけることはない。


秋、11月ごろ、葉や茎が黄変した後に根を掘り取り乾燥させたものが生薬のビャクシ(白芷)。トウキ(当帰)に似た長さ10〜25cmの紡錘〜円錐状をしている。クマリン誘導体ビャクアンゲリコール等を含み解熱、鎮痛、鎮静、解毒、排膿作用があり、漢方ではこうした目的の処方に配合される。その他、婦人薬にも用いられる。
古来、中国の宮廷では女性達に肌を潤す美容用として用いられた。中国では最も古い漢薬の一つだが日本では奈良県、北海道で僅かに生産され、大部分は中国からの輸入に頼っている。

成分
  ・フロクマリン類:

   ビャクアンゲリコール、ビャクアンゲリシン、フェロブテリン、インペラトリン、

   オキシペウセダニン、 ネオビャクアンゲリコールなどクマリン類を主成分とする。
  ・精油:αピネン、βピネンなどのモノテルペン類

主な薬効と応用
   解熱、鎮痛、解毒、排膿作用があり、風邪の熱、頭痛、偏頭痛、三叉神経痛など痛み
   の漢方処方用薬に配合される。

  
 漢方処方例 
・五積散(ごしゃくさん)
  ・疎経活血湯(そけいかっけつとう)
  ・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
  ・藿香正気散(かっこうしょうきさん)
  ・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)
  ・滋腎通耳湯(じじんつうじとう)など

参考文献
   ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
   ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
   ・最新生薬学 刈米達夫著 (広川書店)
   ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
   ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
   ・日本薬草全書 (新日本法規出版)
   ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)


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