トチバニンジン（栃葉人参）

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上：御殿場　秩父宮記念公園
中：上高地
下：但馬高原植物園　赤い実

トチバニンジン（栃葉人参）Panax japonicus C. A. Meyer
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids
＞キキョウ群Campanulids
　　　セリ目Apiales
　　　　　ウコギ科　Araliaceae　　トチバニンジン属　Panax

英名：Japanese Ginseng　

生薬名　    ：チクセツニンジン（竹節人参）
利用部分    ：根茎
利用　　　：日本薬局方生薬、民間薬、健康食品、食用　
名前の由来 ：葉が栃の木の葉に似ていて、花、実、葉ともにニンジン（朝鮮人参）に似るため。

　　　　　　生薬名チクセツニンジン（竹節人参）は根が竹の節のように節があるため。

チョウセンニンジン（朝鮮人参）またはオタネニンジン（御種人参）は日本に野生していないが、トチバニンジン（栃葉人参）は日本特産で、日本各地の山野の日陰に自生している多年草。
Japonicusの名が示すように本邦の固有種と考えられている。

中国からの帰化人、何欽吉（かきんきつ・１６４２～１６５８）という人が薩摩領内で薬草採集しているときに偶然発見した。

花・実・葉などの外形はチョウセンニンジンにそっくりで区別しがたい。初夏（６～８月）、中央の茎の先に長い柄を出し散状花序の小さな薄黄緑色の花を咲かせ、秋　球形の実が赤く成る様子も同じ。(実の先端が黒いのがトチバニンジンの特徴)

但し薬用にする部分の根は似ていない。ニンジン（人参）は根が肥大するが、トチバニンジンには直根はなく竹節状の根茎が走行する。この根茎を湯通ししたものが生薬名、チクセツニンジン（竹節人参）。

植物の外形が酷似していることからニンジンの代用として用いられたが生薬の形状が全く異なることから当初から別の用途の薬として扱われた。
貝原益軒の「大和本草」にも、その薬効は若干異なることが紹介されている。

数種のジンセノサイドを含むサポニンを含有する他、特有のチクセツサポニンを含む。
ニンジン（人参）が新陳代謝機能を盛んにして滋養、強壮強精、病後の回復に用いるのに対して、チクセツニンジン（竹節人参）は、苦味が強く健胃、去痰、解熱作用があるために、胃のつかえ、消化不良、食欲不振、気管支炎などに用いる。局所刺激作用があることから、育毛剤に配合されることもある。

成分
　　・サポニンを約７％（特有のチクセツサポニンⅣ、Ⅴ、１ｂ　Ⅲ　１ａを含む）
　　・数種のジンセノサイドを含む
　　　
利用
　　配合薬（健胃薬、鎮咳去痰薬)の原料にする。
　　　強壮、解熱、去痰、健胃を目的に胃部の熱感、水分の停滞感、心窩部のつかえ　　

　　　に用いられる
　　漢方処方例　（漢方処方にも人参と使い分けて用いる。）
　　　　・温経湯　　（うんけいとう）
　　　　・加味帰脾湯（かみきひとう）
　　　　・帰脾湯　　（きひとう）　　

葉の類似　トチノキの紅葉した葉　
　　　　　トチ葉
　　　　　Photo：春日大社　万葉植物園　　　　　　　　
参考文献
　　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）

　　　・生薬単　原島広至著　　　　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　　・山渓名前図鑑　野草の名前　夏　高橋勝雄著　（山と渓谷社）
　　　・山野草ハンドブック　伊沢一男（主婦の友社）　
　　　・日本薬草全書　水野瑞夫、田中俊弘共著(新日本法規出版)
　　　・植物分類表大場秀章　編著　（アボック社）

トチバニンジン（栃葉人参）

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