オトギリソウ（弟切草）

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上：大阪薬科大学薬用植物園　

オトギリソウ（弟切草）Hypericum erectum　Thunberg　　　
　　　真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots ＞マメ群Fabids
　　　　キントラノオ目Malpighiales　　　　　　　
　　　　　　オトギリソウ科 Guttiferae　オトギリソウ属 Hypericum　

別名:タカノキズグスリ（鷹の傷薬）

生薬名　　：ショウレンギョウ（小連翹）
薬用部分　：全草（花の咲く６～８月）
用途　　　：民間薬
名前の由来 ：昔、花山天皇の時、鷹飼の名人、晴頼はこの草を鷹の傷を治す秘薬としていた。
　　　　　　人々がその名を尋ねても口外しないでいたが、このことを弟が他人漏らしたので、
　　　　　　怒った兄が弟を切り殺した。そのとき葉や花に黒い血の跡が残ったという。
　　　　　　こうした伝説からオトギリソウ（弟切草）の名がある。
　　　　　　数段に並んだ葉が対生し翹（つばさ）を連らねたような形から連翹の名がある、
　　　　　　オトギリソウ属のトモエソウに対し小連翹。
　　　　　　（モクセイ科のレンギョウに連翹の字を当てるのは、本来は誤り）。

日本各地の日当たりの良い山野に自生する多年生草本。一般に草丈は２０～５０ｃｍ。
数多くの変種、品種があり、オトギリソウ属は細分すると多くの種になる。代表は日本ではオトギリソウ、ヨーロッパではセイヨウオトギリソウで、ともに民間薬として著名。
セイヨウオトギリソウはセント・ジョーンズ・ワートの名でサプリメントとして人気がある。

葉は対生し茎を抱くようにして付き葉先は丸い。葉を太陽に透かして見ると全面に油点が散在し黒く見える。
７～８月にかけて朝早く花が咲き、夕方にはしぼむ１日花だが枝先に次々に黄色い花が咲く。秋には実を結び種子が出来る。種子が熟してきた秋頃、全草を刈り取り日干する。

成分はアントラキノン類のピペリシン、フラボン類のクエルセチンのほかタンニンを含んでいる。
ピペリシンは黒紫色素で紫外線を強く吸収するので、肌につくと皮膚炎をおこす場合がある。切り傷や打撲傷、筋肉の痛み、腫れ物に外用すると効果があるといわれているが、皮膚炎には十分注意して使用する必要がある。放牧されている牛馬、羊などがオトギリソウを食べ、日光にあたると皮膚炎を起こし、脱毛することがあるのもピペリシンの作用によるので注意が必要。なお、タンニンには消炎、収斂、止血などの作用がある。

主な成分　　　
　・アントラキノン類（ヒペリシン）
　・フラボン：クエルセチン
　・タンニン
用途
　・止血、腫れ物に、乾燥全草の煎液で洗浄する。（外用の場合、体質により皮膚炎に要注意）
　・新鮮葉や茎の絞り汁は創傷、打撲、痔などに外用する。
　・煎液は、扁桃腺のうがい薬に出来る。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・山渓名前図鑑　野草の名前　夏　高橋勝雄著　（山と渓谷社）
　　・山野草ハンドブック　伊沢一男（主婦の友社）　
　　・日本薬草全書　水野瑞夫、田中俊弘共著(新日本法規出版)
　　・原色和漢薬図鑑　難波恒雄著　（保育社）
　　・日本の野生植物　草本Ⅱ　（平凡社）
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）

オトギリソウ（弟切草）

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