マタタビ(木天蓼)

マタタビActinidia polygama Maximowicz
  真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク亜綱Asteridae 
   ツツジ目Ericales
      マタタビ科 Actinidiaceae マタタビ属 Actinidia

猫にマタタビ 猫はマタタビに強い関心を示す

生薬名  :モクテンリョウ(木天蓼)
利用部分 :①果実の虫コブ ②果実  ③若葉、新芽、花
利用   :①民間薬 ②薬用酒、食用 ③食用
名前の由来:アイヌ語の「マタタムブ」からきたというのが、現在最も有力な説のようである。
      「マタ」は「冬」、「タムブ」は「亀の甲」の意味で、マタタビの果実が冬になると
      亀の甲のような格好になるのを表した呼び名だろうとされる。

日本各地の山野に自生するつる性の落葉潅木。他の木に絡みついて、高くのびる。
普段は気がつかないが初夏の花の時期、上半分が白くなっている葉が潅木を覆っているのをよく目にする。マタタビだ。遠くからでも良く目立ちすぐマタタビだとわかる。初夏 梅に似た良い香りがする純白の花を下向けに咲かせる。
花の咲く時期、葉の先が半分白くなる葉が現れる。花が終る頃、白色の葉は不思議と消えて元の緑に戻る。
すべてのどの葉でも白くなる訳ではなく、花をつける蔓の先端部の葉が白くなっている。受粉を助ける昆虫を誘引するサインとなっていると考えられる。
つぼみの頃から、開花直前に花の中心の子房に昆虫、アリマキ科のマタタビアブラムシが産卵する。産卵された子房は正常の紡錘状の果実にならず異常発育し虫こぶ状になる。この虫こぶに熱湯を注いで乾燥させたものを木天蓼といい薬になる。
虫こぶにならない正常な果実は食用にはなるが、薬用にはならない。


”猫にマタタビ”というぐらいネコが好み、興奮する。病気のネコに適量与えると元気を回復するといわれるネコの万能薬。
ネコ科の動物(ネコ、トラ、ヒョウ、ライオンなど)はマタタビを噛んでいると興奮し始め、しまいには目を細め、よだれを流しうつらうつらし始める。
マタタビの葉、茎、実に含まれるマタタビラクトン・アクチニジンという揮発性のマタタビ酸が含まれるためで、ネコの大脳、脊髄、延髄を麻痺させる効果がある。一種の麻酔剤的な効果。

人も古くからマタタビを薬用に使っていた。冷え性、利尿、神経痛、リウマチ、体を温め,血行を良くする効果があることから神経痛、腰痛など、疝気の鎮痛薬にする。利尿の効果もある。
高齢者や冷え性の人に良い


マタタビの花と若い芽や葉は、山菜としておひたしや和え物、炒め物に利用でき、葉や茎は乾燥させて入浴剤としても利用すると神経痛によくきくという。
正常な果実は、熟すと甘みがでて生食も出来るが、青いものは辛く、塩漬け、味噌漬けにして食べたり、果実酒にする。疲れきった旅人がこの実を食べて、元気を取り戻し又、旅ができるようになったことに名が由来するのもうなずける。

成分
  マタタビラクトン

マタタビ酒
 焼酎1Lに実100g、蔓では150g程度を刻んでいれ、氷砂糖か蜂蜜でかるく味付けする。
 血液の循環が良くなり体を温め、利尿効果がある。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修  (柏書房)
  ・山渓カラー名鑑 日本の樹木 (山と渓谷社)
  ・原色和漢薬図鑑 難波恒雄著 (保育社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


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