サネブトナツメ（核太棗）

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上・下：武田薬品京都薬用植物園　ナツメそっくりの花と棘
中：府薬会館　果肉は少なく殆どが種子　

サネブトナツメ（核太棗）Zizyphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou
　　　　　真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots ＞マメ群Fabids
　　　　　　バラ目Rosales
　　　　　　　クロウメモドキ科 Rhamnaceae　ナツメ属 Ziziphus

　ナツメ（棗）と近縁種

生薬名　　：サンソウニン（酸棗仁）
利用部位　：種子
利用　　　：日本薬局方生薬　漢方処方配合生薬
名前の由来：ナツメ(棗）より”サネ”の部分が大きくためサネブトナツメという。
　　　　　　生薬名、サンソウニン（酸棗仁）はナツメ（棗）に比べて果実が酸っぱいための名。

ヨーロッパから中国に分布する落葉小高木。枝は暗褐色、節が膨らみ節から２～３本の新しい枝が伸びる。托葉が変化した棘がたくさんある。
サンソウニン（酸棗仁）の棗の字は朿(とげ、トゲのある木)を上下に重ねたもの。近縁のナツメ（棗）は、品種改良により棘がないので見分けられる。ナツメ（棗）の母種。

サネブトナツメのトゲは細く長く、しかも鋭い。初夏、淡黄色の小花を固まってつける。花はナツメの花にそっくりでナツメと区別しがたいが、茎に長く鋭い棘があるので、ナツメと区別できる。花後に実る果実はナツメ（Zizyphus jujuba Miller var. inermis Rehder）と比較し、小さくやや球状で、果肉が殆どなく、中の種子（核）ばかり大きい。ナツメ（棗）は果実を用いるがサネブトナツメは、中の種子を生薬に用いる。秋に赤く熟した果実を採取、水洗後、軽く湯通したのち日干しする。大粒で新しいものが良品とされる。種皮は厚いクチクラでおおわれているので使用に際しては、砕いて用いる。

弱っていらだっている神経を強くし、自然の眠りに誘う鎮静作用がある。漢方処方にクヨクヨして眠れない心因性神経症の不眠症に用いられる酸棗仁湯などに配合される。

成分
　　・ベンジルアルコール配糖体：ジジベオシドⅠ、Ⅱ
　　・サポニン：ジュジュボシドＡ、Ｂ、Ｃ、プロトジュジュボシドＡ、Ｂ、Ｂ１
　　・フラボノイド配糖体：スピノシン、スピルテシン
　　・環状ペプチド：サンジョイニン類
　　・環式トリテルペン：ベツリン酸、ベツリン

適用と主な処方
　漢方では強壮、健胃、鎮静、催眠薬として不眠症、神経症、神経衰弱の治療のためにもちいる。
　　・酸棗仁湯　（さんそうにん）
　　・帰脾湯　　（きひとう）　
　　・加味帰脾湯（かみきひとう）　　　　
　　・加味温胆湯（かみうんたんとう）
　　・温胆湯　　（うんたんとう）　
　　　　　　　　　　　　　　などに配合

樹齢約３００年のサネブトナツメ(東京都文京区　小石川植物園）
　　　　　サネブトナツメ倒木

江戸時代　享保年間　国産の薬草薬樹を目指した幕府の方針により、小石川植物園が設けられ多くの薬草、薬樹が収集栽培された。サネブトナウメは明治１０年発行の小石川植物園草木目録によると享保12年（１７２７年）中国から輸入されたと記載されている。それから計算すると現在のサネブトナツメは３００年近い年月を経ている。相当な大木だが、惜しいことに大正８年（１９１７年）の台風で倒れ、現在のように横倒しになってしまっている。しかしそこから芽吹き小枝が大きく成長している。生命力の強さには感動する。
小石川植物園ではサネブトナツメの他、カリン、サンシュウなどの薬樹が現在も残り健在。
（小石川植物園サネブトナツメ説明板など参考）

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著　　　　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・原色和漢薬図鑑　難波恒雄著　（保育社）
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）

サネブトナツメ（核太棗）

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