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ムクロジ(無患子)

商品写真
上:京都薬科大学薬用植物園 ムクロジの花
中:日本新薬山科植物資料館 下:人麻呂神社

ムクロジ(無患子)Sapindus mukorossi Gaerth
  真正双子葉類Eudicots >中核真正双子葉類Core Eudicots >バラ類Rosids>アオイ群Malvids
   ムクロジ目Sapindales
     ムクロジ科 Sapindaceae ムクロジ属 Sapindus

生薬名  :エンメイヒ(延命皮
利用部分 :種子、果実の皮
利用   :羽根つきの珠、石鹸の代用、
名前の由来:ムクロジ属 サピンドゥスSapindusもラテン語sapo、石鹸の意味から。
      ムクロシmukorossiも和名のムクロジの音がそのまま用いられる。

温帯、暖帯、亜熱帯に野生する。本邦では本州以西、四国、九州、沖縄各地の山地に自生する樹高15〜20mにもなる喬木。
葉は、70cmの偶数羽状複葉と大きい。6月頃、枝先に大型の円錐花序を出し、淡い緑色の直径4〜5mmの花を多数つけ、30cm程度の穂状になって咲く。同一株に雄花、雌花が混在する雌雄同株。果実は直径2cmの球形で中に黒い種子が1個入っている。

種子は数珠の珠や羽子板の羽つきの珠にされる。果実の皮は水に溶けると泡が出る。サポニンを含み、昔、石鹸のなかった時代石鹸の代用にされた。
ムクロジは無患子と書き「子に患い無く、患わない子」の意味。子に限らず誰しも無病息災を願うのは人々の共通の願いだ。
ムクロジの種子でつくった羽を使う羽子板が無病息災のお守りにされる所以になっている。
お釈迦様はムクロジの種子108個を糸で貫き通し輪にし、数珠を作り祈るよう説いておられる。


そうした”いわれ”か、野生以外では神社や寺院の庭木に植えられているのがよく見られる。
下Photoも、奈良県橿原市地黄町の柿本人麻呂をご祭神とする人麻呂神社に植えられているムクロジの木。
地名の地黄町はかって、このあたりが薬草の地黄を盛んに生産していたこと由来する地名とのこと。

成分  
  サピンドゥスサポニン( ムクロジサポニン)

ムクロジ神社
Photo:人麻呂神社境内のムクロジの木

ムクロジ生薬
Photo:日本新薬 山科植物資料館 ムクロジの実
  ムクロジの大木の根元に、沢山の実が落ちていた。中に丸い黒い種子が入っている。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・日本の樹木 (山と渓谷社)
  ・花と樹の事典 木村陽二郎(柏書房)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)

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