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アカメガシワ(赤芽柏)

商品写真
上:六甲山 市ケ原
中:雄花の円錐状花序
下:兵庫県養父市 天滝付近 赤い新芽の芽吹き

アカメガシワ(赤芽柏) Mallotus japonicus Mueller  Argoviensis
 真正双子葉類Eudicots >中核真正双子葉類Core Eudicots >マメ群Fabids
      キントラノオ目Malpighiales
       トウダイグサ科Euphorbiaceae   アカメガシワ属Mallotus

万葉集ではヒサギ(久木、歴木)の名で登場 

生薬名  :アカメガシワ(赤芽槲)
利用部分 :樹皮
利用   :日本薬局方生薬 
名前の由来:新芽が赤く、葉が大きくカシワのように飯を盛りつけるのに用いたため

種小名 japonicusが示すように本州・四国・九州の山野や丘陵に自生する落葉小高木。日本に広く分布しているが、東南アジアにもこの種や近縁種が自生している。雌雄異株。春の新芽が赤く美しい。アカメガシワの名の由来ともなっている。葉が大きいので、昔はご飯や物を包むのに用いられカシワの名もある。万葉の時代は”ヒサギ”とも称されていた。
万葉集中、山辺赤人は「ぬばたまの 夜の深けゆけば 久木生うる 清き河原に 千鳥しば鳴く」と詠んでいる。この久木はアカメガシワのことだと言われている。

本来は熱帯系統の植物であったが、落葉性を身につけることで温帯への進出を果たしたものと考えられている。生命力の強い植物で植生遷移において、空き地から草地そして低木林に進む際、先ず現れる典型的なパイオニア植物。河原、海岸、伐採跡地などの日当たりの良い場所に生える。6月頃、花弁のない黄緑色の小さな花を密集して咲かせる。

ごく、ありふれて、どこにでも自生している植物だか、樹皮には苦味物質ベルゲニンを含む。
ベルゲニンは抗潰瘍性薬効成分であり、胃腸薬に用いる。日本薬局方にも収載されているれっきとした薬用植物。アから始まる50音順のため一番初めに収載されている
。多くの市販の胃腸薬にも配合されている。

成分
 ・イソクマリン類:ベルゲニン、
 ・フラボン類:ルチン
 ・タンニン類:ゲラニイン、コリラギン、カテキン、ガロカテキンなど

利用
 ・苦味物質ベルゲニンの作用により、整腸薬、胃潰瘍・十二指腸潰瘍治療薬に用いられる。
 ・若い葉は天ぷら、木の芽は茹でてあえものにすると美味しい。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修  (柏書房)
  ・山渓カラー名鑑 日本の樹木 (山と渓谷社)
  ・原色和漢薬図鑑 難波恒雄著 (保育社)
  ・万葉の花 松田修著 (保育社
  ・日本薬草全書 水野瑞夫、田中俊弘共著(新日本法規出版)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


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