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ヤマアイ(山藍)

商品写真
上:春日大社 万葉植物園
下:京都薬科大学附属薬用植物園 ヤマアイの花とジロボウエンゴサク

ヤマアイ(山藍) Mercurialis leiocarpa Siebold et Zuccarini 
   真正双子葉類Eudicots >中核真正双子葉類Core Eudicots >マメ群Fabids
     キントラノオ目Malpighiales
       トウダイグサ科 Euphorbiaceae ヤマアイ属 Mercurialis

  古代からの摺り染用 染色植物 

利用部分 :葉
利用   :染色 摺り染用染色植物 
名前の由来:山に自生し藍染めに用いることから

山林や渓流沿いなどやや湿った場所の下草として、群生する雌雄異株の多年草。葉は対生。早春に枝先から花茎を伸ばし緑色の小さな花を穂状につける。
本州から、台湾、朝鮮、中国、インドシナなど広く分布する。

万葉集にも名前が登場するなど、古来から染色に用いられてきた植物。アイの名が付くのでタデ科のアイ、キツネノゴマ科のリュウキュウアイのように藍染植物と混同されるが、青藍(インジゴチン)を含まず、青色色素シアノヘルミジンを含むので、浸し染めにしても藍色にはならない。
古くは直接布に摺って染めていた、摺り染用染色植物であったのだろう。染料としての定着も弱い。青色に染まらず、むしろ葉緑素の緑色に染まる。

古代の染色を今に伝える伝統が皇室に残っているそうだ。新嘗祭の神事に用いられる小忌衣(おみごろも)の染め物は、今でも、ヤマアイで染めるという。京都の岩清水八幡宮に自生するヤマアイが使われるそうだ。
実際に自生しているところを是非見てみたいと思っている。

『万葉集』に見られるヤマアイ(山藍)を詠んだ歌。(集中一首のみ)

  級(しな)照る 片足羽(かたしは)河の さ丹(に)塗りの 大橋の上ゆ
  くれないの 赤裳すそ引き 山藍用ち 摺れる衣(きぬ)著(き)て ただ独りい渡す児は
  若草の つまかあるらむ 橿(かし)の実の 独りか寝らむ
  問はまくの 欲しき吾妹が 家の知らなく 
                    (9/1742、読人知らず)
参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修  (柏書房)
  ・万葉の花 松田修著 (保育社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)
    
 

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