カラタチ（枳殻　枸橘）

商品写真
上・下：丹波薬草薬樹園　カラタチの棘と果実。
　　　果実は熟すと黄色くなる。

カラタチ（枳殻　枸橘） Poncirus trifoliata Rafinesque
　　真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots ＞バラ類Rosids＞アオイ群Malvids
　　　ムクロジ目Sapindales　　　　　
　　　　　ミカン科 Rutaceae　 カラタチ属 Poncirus

北原白秋「カラタチの花」の歌の主題になったカラタチ。

生薬名　　：キコク（枳殻）
利用部位　：�〔そ浪娘臓　´�花
利用　　　：�＾瀋果瑤慮粁繊´�香粧料
名前の由来：唐（から）から渡来した柑橘の意味。
　　　　　　タチバナ、カラタチバナ（唐橘）が詰まって、カラタチになった

カラタチ（枳殻、枸橘）はミカン科カラタチ属の落葉低木。北原白秋の「カラタチの花」の詩で有名なあのカラタチだ。白秋が子供の頃、学校への行き帰りに、いつも見て通った垣根のカラタチを、懐かしんで詠んだと言われている。カラタチの白い花には精油リモネン、リナロールが含まれ良い香りがし香料に用いられる。

葉は３出複葉、葉柄に狭い翼がつく。横断面が３角形の比較的短い枝には２〜３ｃｍの長く鋭い棘がある。
長大な棘があることから防犯避けに生け垣によく利用されている。京都、東本願寺の別邸、枳殻邸はかって周囲をカラタチの生け垣でかこまれていたことから枳殻亭の名がある。花の開花期は普通のミカン属より早く４月には新葉に先立って開花する。
果実は直径３〜４ｃｍ、ピンポン玉のような球形。短い毛で覆われミカンのように光沢はない。
１０〜１１月に熟すが、果汁は酸味が強くとうてい食べられない。

揚子江上流が原産で、日本は渡来した年代は明らかではないが万葉集にその名があることから大体８世紀ごろと考えられている。唐から渡来した柑橘という意味でカラタチ（唐橘）といわれた。又キコクともいわれる。キコクは中国名「枳殻」（元来は別種）をそのまま音読みしたもの。この、まだ青い未熟果実を乾燥させて、薬用に枳穀として用いたり、果実酒にしてもも良い。

しかしカラタチの果実を枳殻、枳実としたのは本来は誤りで、現在、健胃の目的で薬用にする枳殻、枳実は日本薬局方ではダイダイ、ナツミカンの未熟果を用い、カラタチの果実は用いられていない。カラタチは柑橘類の接木の台木として、農業上は極めて重要で日本の栽培柑橘類は大部分カラタチを台木にして接木増殖されている。

成分
　枳実とほぼ同じで、hesperidinがやや少ない
効能
　芳香性健胃薬、抗アレルギー作用
　消化不良症に対し胃腸の蠕動運動を促進して上腹部の膨満感を除くときには、枳穀を用いる。
　胃腸内の不消化物を消化して排泄させるときは、枳実を使用する。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・花と樹の事典　木村陽一郎　監修　　（柏書房）
　　・山渓カラー名鑑　日本の樹木　（山と渓谷社）
　　・万葉の花　松田修著　（保育社）
　　・日本薬草全書　水野瑞夫、田中俊弘共著(新日本法規出版)
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）　

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