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ゴシュユ(呉茱萸)

商品写真
上・中・下:東京都薬用植物園 ゴシュユの花 
下:大宇陀 森野旧薬園 未熟果実。

ゴシュユ(呉茱萸)Evodia ruticarpa Bentham
  真正双子葉類Eudicots >中核真正双子葉類Core Eudicots >バラ類Rosids>アオイ群Malvids
   ムクロジ目Sapindales     
     ミカン科 Rutaceae ゴシュユ属 Evodia

生薬名  :ゴシュユ (呉茱萸)
利用部分 :果実(未熟果)を採取、陰干しする
利用   :日本薬局方生薬 漢方処方用薬
名前の由来:呉茱萸をそのまま音読みしたもの。萸とは赤い実のこと、呉(江蘇省一帯)の地に産す
      るものが良品とされたので呉の名がつく。

中国中南部原産の落葉低木。雌雄異株。日本へは享保年間(1720年頃)に、小石川療養所内の薬園に導入された。雌株のみであったため、株分けされた苗が各地に採植され、その不稔性果実を生薬として用いていた。
葉は対生し、7〜9枚の小葉からなる奇数羽状複葉。8月頃、枝先に円錐花序を出し、緑白色の小花を咲かせる。秋、最初青く後、11月頃赤褐色の実になる。
秋、この未熟果実を採取し、日陰で乾燥させたものがゴシュユ (呉茱萸)。
このとき急速に乾燥させるのが望ましいとされている。特有の香りがあり、味は辛く、後に残留性の苦味がする。1年以上経過し古くなった小粒で黒く、辛味が強いものが良品とされる。
新鮮なものが珍重されるのに対し、古いものが尊ばれるのがある。陳皮、呉茱萸などが代表的。陳皮、呉茱萸 枳実、麻黄、半夏、狼毒(何の植物かは不確実)の6種類を挙げ古いものを良しとしている。六陳の中にミカン科植物由来の生薬が3種もあげられていることは興味深いことだ。

中国にはゴシュウユ以外にもホンゴシュウユ(本呉茱萸)Evodia officinalis Dode、エウォディア ボディニエリEvodia bodinieri Dodeなどの薬用種があり、いずれの果実も日本薬局方では生薬のゴシュユ (呉茱萸)とされる。

漢方では水毒による頭痛、嘔吐、胸満(心臓下部の膨満感)などに応用され、健胃、鎮痛、鎮嘔、利尿、食欲増進薬として用いられる。
また浴湯料にも用いられる


成分 
  ・アルカロイド:エボジアミン、ルテカルビン、レチニン
  ・精油:オシメン、エポデン
  ・トリテルペノイド系苦味成分:リモニン
  ・脂肪油:ゴシュウ油   など
     特異な香りは鎖状テルペンに基づく。

主な漢方処方
主に漢方処方用薬で、冷え性用薬と思われる処方及びその他の処方に少量配合される。
  ・呉茱萸湯       (ごしゅうゆとう)  
  ・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅうゆしょうきょうとう)
  ・温経湯        (うんけいとう)
                        など

ゴシュユの近縁種
   イヌゴシュウユ(犬呉茱萸)Evodia danielli (Benn.)T.G.Hartley
   イヌゴシュウユ2
     Photo:日本新薬 山科植物資料館 イヌゴシュウユの花

 中国東部から朝鮮に分布する。ゴシュウユに似ているが小葉の裏面以外は無毛。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修  (柏書房)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)

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