ダイダイ(代々)Citrus aurantium Linne var daidai Makino
真正双子葉類Eudicots >中核真正双子葉類Core Eudicots >バラ類Rosids>アオイ群Malvids
ムクロジ目Sapindales
ミカン科 Rutaceae ミカン属 Citrus
鏡餅を飾るダイダイ。 正月飾りはめでたいダイダイを飾る。
苦味チンキ、トウヒチンキ、トウヒシロップの原料。
生薬名 :①トウヒ(橙皮)②キジツ(枳実)
利用部位 :①成熟果皮 ②未熟果実
利用 :日本薬局方生薬 胃腸薬原料、苦味チンキ、トウヒチンキ、トウヒシロップ原料。
名前の由来:果実をとらずに放置しておくと次の年の果実がなっても昨年の果実が枝に残る。
同じ木に3代の果実が同時にみられるなど代々の果実がなるので「代々」という名
になった。
インドのヒマラヤ地方が原産といわれている。古く中国を経て日本に渡来した変種がダイダイだといわれている。インド、ヨーロッパ、アメリカ、中国南部にまで分布し欧米ではサワーオレンジとしてよく知られている。樹勢が強く枝に棘がある。低温にも暑さにも強く樹齢も長い。大型の白い花が咲き良い香りがする。果実は中型で丸く熟すと果皮は橙色になる。橙色という色名の語源でもある。実は収穫しなければ2、3年も木に残るので代々の名がついた。冬に濃い橙色になってもそのまま木に残しておくと春~夏にかけて青く戻るのでカイセイトウ(回青橙)ともいわれる。実に面白い習性だ。果実は多汁だか酸味が強く、甘味が少ない。酸味が強く生食色には不向きで、マーマレードやポン酢、漢方薬の原料にする。
ダイダイの成熟果皮を縦に4等分し乾燥したものがトウヒ(橙皮)。トウヒ(橙皮)は精油約2%(ピネンなど)、フラボノイド配糖体(ヘスペリジン)味質を含み芳香性健胃薬として胃酸の分泌、胃の蠕動運動の亢進、食欲の増大などの効果がある。トウヒの粉末は苦味チンキ、トウヒチンキ、トウヒシロップの原料になる。未熟果実をそのまま、あるいは半分に横切し天日で乾燥たものはキジツ(枳実)として用いられる。
又花から採れる精油はトウカユ(橙花油)といい高級香水の原料になる。南フランスから高級なものが生産されている。
成分
・精油:リモネン、シトロネロール、ゲラニオール、ピネン、カンフェンなど)
・フラボノイド配糖体:ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン、ボンシリン
(ヘスペリジンはビタミンPとも、毛細血管強化作用がある)
・苦味物質:リモニン、シネフリン、ペクチン
用途
・日本薬局方、苦味チンキ、トウヒチンキの製剤原料である。トウヒシロップの原料になる。
・漢方処方以外の芳香性苦味健胃薬原料として、種々の胃腸薬に配合される。
・漢方処方用薬としては緩下薬とみなされる処方、その他に配合される
参考文献
・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
・最新生薬学 刈米達夫著 (広川書店)
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
・花と樹の事典 木村陽一郎 監修 (柏書房)
・山渓カラー名鑑 日本の樹木 (山と渓谷社)
・原色和漢薬図鑑 難波恒雄著 (保育社)
・食材図典 (小学館)
・日本薬草全書 水野瑞夫、田中俊弘共著(新日本法規出版)
・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)
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