ハマビシ(浜菱)

商品写真
上:大阪薬科大学薬用植物園
中:武田薬品 京都薬用植物園  ハマビシの花後の蒴果

ハマビシ(浜菱)Tribulus terrestris Linne 
  真正双子葉類Eudicots >中核真正双子葉類Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids   
    ハマビシ目Zygophyllales
     ハマビシ科Zygophyllaceae ハマビシ属Tribulus

生薬名  :シツリシ(蒺藜子)
利用部分 :果実
利用   :漢方薬、日本薬局方生薬
名前の由来:海辺の砂地に自生しヒシのような形の実つけるため。(菱)のいみ
    
熱帯から温帯の海岸や内陸の乾燥地帯に自生する1年草または越年草。
日本でも関東以西の本州、四国、九州の海岸にまれに自生する。日本に自生しているハマビシ科はハマビシ1種のみ。
茎は分岐し、地面を這うように四方に広がり長さ1mにも達することもある。葉は対性で、4~8対の偶数羽状複葉。夏、小さな5弁の黄色い花を咲かせる。
近年では大幅に減少しているため、環境省より絶滅危惧類に指定されている。

果実は直径1cm、硬い木質化した5分果からなり、この形がヒシの実に似ている。
手で葉をなぞると尖った針のような果実が刺さる。ハマビシの生えている海岸を素足で歩き、ハマビシを踏むと大変なことになる。

ハマビシ属Tribulusはラテン語のtribulus トリブル”まきびし”から、中世ヨーロッパの戦闘で騎馬兵の侵入を防御するため用いられた鉄製のまきびしを指す。ハマビシの果実が”まきびし”のような形をしているため属名になった。
甲賀や伊賀の忍者が逃走する時に、尖ったヒシの実を撒いて逃げたというのにも似ている。洋の東西を問わず考えることが共通しているのは興味深い。

秋果実が成熟したとき全草を刈り取り、乾燥させ、たたいて果実のみ集める。漢方では血流を良くし、鬱帯した瘀血を除く。また滋養強壮にも用いられる。

主な成分
  ・アルカロイド:ハルミン、ハルマン
  ・フラボノイド:ケンフェロール、アストラガエリン、
  ・その他タンニン、脂肪油

漢方処方例
   当帰飲子(とうきいんし)

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・原色和漢薬図鑑 難波恒雄著 (保育社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)

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