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トチュウ(杜仲)

商品写真
上:小石川植物園 トチュウの翼果
中:武田薬品 京都薬用植物園
下:糸を引くグッタペルカ

トチュウ(杜仲)Eucommia ulmoides Olivr  
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
   アオキ目(またはガリア目)Garryales
     トチュウ科Eucommiaceae トチュウ属Eucommia

・杜仲茶、薬用茶原料植物 
・グッタペルカ原料


生薬名  :トチュウ(杜仲)
利用部分 :樹皮  葉
利用   :日本薬局方生薬、漢方薬処方生薬
名前の由来:トチュウの木の皮を煎じ毎日飲んでいた人の名が“杜仲”であったことに因む。

トチュウ科は一属一種。このトチュウのみの珍しい科。中国が原産で高さが10〜20mにもなる落葉高木。中国、韓国、日本で栽培される。イチョウと同じ雌雄異株で、雌株には葉より先4〜5月頃白い花が咲く。 葉は互生。ニレやケヤキに似た楕円形で、縁はギザギザした鋸歯があり、若葉をお茶として用いる。

樹皮の表面は灰褐色のざらざらした肌で、内側は暗い紫褐色をしている。普通、10年以上たった木から樹皮を採取する。外表皮を除いた樹皮が生薬名、トチュウ(杜仲)で、神農本草経にも収載されている歴史のある生薬。
樹皮や葉、果実(翼果)にグッタペルカ(ポリイソプレン)を含み、折ると銀白色の糸を引く。(ゴム様物質を全体に含むことで、虫などからの食害を防いでいると思われる。)

グッタペルカは、元々スマトラやボルネオなどの熱帯地方のグッタペルカノキから採られるものだが、その乳液に似ているためその名がある。温帯のグッタペルカ原料植物は非常に珍しいとされている。
写真は果実を撮った物で、長さ約4cm程の扁平な長楕円形で両側に翼をつけている。(モミジと似ている。)熟すと暗褐色になる。
トチュウの薬性は穏やかで、補養強壮薬とされ、内科、婦人科で見られる心臓、腎臓、生殖機能の衰えには良い効果が得られる。穏やかな効果により長期の服用が可能で、特にトチュウの葉はお茶として用いられる。杜仲配糖体(ゲニポシド酸)は血圧の調節に関わる成分として特定保健用食品、トクホに指定されている。
       
成分と薬効
  ・リグナン配糖体:ピノレシノール、ピノレシノールジグルコシド
  ・イリドイド配糖体:アウクビン、ゲニポシド 
  ・モノテルペンも含まれている
  強精、強壮薬とするほか、四肢の冷えや疲労を伴う、鎮痛薬として特に腰痛や膝関節痛、
  関節リウマチに用いる

漢方処方例
  ・大防風湯 (だいぼうふうとう)
  ・加味四物湯(かみしもつとう)
  ・杜仲   (とちゅうがん)
薬用酒、薬用茶 
  ・薬用酒:滋養強壮に
  ・薬用茶:高血圧、動脈硬化など血圧の調節に

グッタベルカ(ガタパーチャ)とは
スマトラ,ボルネオ島が原産。樹高20mに達する高木のグッタベルカノキPalaquium gutta Baillの木から得られる乳液状のゴム質物質。弾力性がなく、高温でも変化しにくく、水中でも性質が安定している。これらの性質から海底電線の被覆用、化学実験器具、医療用具など特殊な用途に利用されてきた。
トチュウは葉に約2%、樹皮に約7%のグッタベルカを含み、温帯、寒冷地で得られる唯一のグッタベルカ原料植物として、栽培造林がされているが、含有率が低く収量が少ないのが難点で品種改良が試みられている。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山渓カラー名鑑 日本の樹木 (山と渓谷社)
  ・原色和漢薬図鑑 難波恒雄著 (保育社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


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