ユキノシタ（雪の下）
ユキノシタ（雪の下）Saxifraga stolonifera Meerburgh
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots
ユキノシタ目Saxifragales
ユキノシタ科Saxifragales ユキノシタ属 Saxifraga
別名：ミミダレグサ
生薬名 ：コジソウ（虎耳草）
利用部分 ：葉
用途 ：民間薬、食用
名前の由来：雪の下にあっても枯れずに残っているからとも、葉の上に白い花が集まって咲くから
雪の下にあるようだとの意味とも。生薬名コジソウ（虎耳草）は葉の形や縞模様を
虎の耳に見立てたもの。
やや湿った山野の日陰、渓流の岩上、庭先など北海道を除く全国に自生する多年性の常緑の多年草。５〜６月にかけて赤い茎を伸ばし先に円錐状の花序つけ、白色の５弁の花を咲かせる。
花びらの上側３枚は小さく基部に黄色斑とその上に赤い斑点がある。下側の２弁花は大きく下に開いて白色である。同属に山野草として愛好家が好む「ダイモンジソウ（大文字草）」がある。５枚の花弁が大の字に見える形を良くあらわした名で、ユキノシタと異なり、斑点はなく５弁ともに白なので区別できる。葉の表面には全体に荒い毛が生えていて一見食べられそうには見えないが天ぷらにするとなかなか美味しくいただける。おひたしにもできる。
ユキノシタの生葉を揉んで傷口に貼ると化膿せず早く治る。凍傷や火傷にも使える。生葉をあぶって使っても良い。また、葉のしぼり汁は耳だれ、中耳炎、漆によるかぶれ、虫刺されなどに効く。別名「ミミダレグサ」とも呼ばれる。
生汁は抗菌性があり、ジベレリンを含むので、肉芽の形成を促進するともいわれている。古くから民間薬として活用されてきた。庭の湿り気のあるところに植えておくと雅趣があり風流で、思わぬときにも活用でき重宝される。
利用例
・食用：天ぷら
・薬用：腫れ物、凍傷、火傷、耳だれ、中耳炎、漆によるかぶれ、虫刺されなど
成分
硝酸カリウム、塩化カリウムなどの無機塩類
参考文献
・朝日百科 世界の植物 （朝日新聞社）
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 （広川書店）
・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 （山と渓谷社）
・山野草ハンドブック 伊沢一男（主婦の友社）
・薬になる花 田中孝治 (朝日新聞社)
・美味しい山菜 おくやまひさし（文一総合出版）
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
（コメント）
従来の分類ではユキノシタ科は草本、木本の多様な属を含んでいたが、遺伝子ＤＮＡを用いた植物の系統分類、ＡＧＰ�景�類では木本性の植物全てと、草本性のいくつかの属が他の科に移動した。新たなユキノシタ科ではチダケサシ属、ネコノメソウ属、チャルメルソウ属、ユキノシタ属、ズダヤクシュ属などが所属しアジサイ属、ウツギ属、バイカウツギ属などはアジサイ科に移された他の属にも種々の再編が行われ、ユニノシタ科は大きく変った。
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）