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ヤマブキショウマ(山吹升麻)

商品写真
上・中:白馬五竜のお花畑 遠景は五竜の峰々 
下:美ケ原 満開のヤマブキショウマ

ヤマブキショウマ(山吹升麻)Aruncus dioicus Fernald  var. tenuifolius Hara
  真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids
   バラ目Rosales
    バラ科Rosacea ヤマブキショウマ属Aruncus 

利用部位 :若い芽
利用   :山菜として食用に
名前の由来:ヤマブキの葉に小葉の形、葉脈、鋸歯が似ていることと、花や葉がユキノシタ科の
      トリアシショウマやアカショウマに似ていることからショウマの名が付いた。

ショウマと名の付く植物はユキノシ科に多いが本種のみバラ科に属する。
日本全国の山地に自生する草丈1mぐらいの多年草。葉は2回3出複葉で9枚の小葉がある。
3出複葉というのは三つ葉のことで、それがもう1回枝分かれをする。 したがって、1枚の葉は9枚の小葉で構成される。小葉はヤマブキに似ているがヤマブキとは系統的に遠く、むしろユキノシタ科のトリアシショウマなどに似ている。見分け方は、葉の鋸歯(葉の縁のギザギザ)がトリアシショウマより深く先が細長く伸び、しかも葉脈が平行ではっきりしていること、また雌雄異株であることで区別する。(トリアシショウマは両性花、葉脈は平行に出ず必ずしも明瞭ではない)。
トリアシショウマ、アカショウマは薬用にも、食用にもなるがヤマブキショウマの軟らかい若芽は山菜として食べられるが薬用にはならない。
軟らかい若芽はゆでて水に晒し、酢の物や和え物、油いために出来る。


−名前の類似 ヤマブキー
  ヤマブキ(山吹)Kerria japonica (L.) DC.
バラ科Rosacea ヤマブキ属Keria

     ヤマブキ武庫川
     Photo:武田尾 武庫川渓谷 一重のヤマブキ

太田道灌とヤマブキの逸話
ヤマブキはバラ科ヤマブキ属Keriaで、1属1種のみ。八重咲のヤエヤマブキkerria formaC.K.Sが品種としてある。谷沿いなど湿った斜面に春、黄金色の明るい花を咲かせる。日本全土のほか中国にも分布する。ヤマブキは太田道灌にまつわる逸話に登場する花としてよく知られている。
太田道灌がにわか雨のため蓑を借りたいと訪れた民家の少女が蓑の代わりにヤマブキの小枝を差し出したという逸話。道灌はその意味が分からず腹を立てて帰り、後、それが後拾遺集に登場する「七重八重花は咲けどもヤマブキの実の1つだになきぞ悲しき」の和歌。“実の”を“蓑”にかけたのだのだということを知り自己の不明を恥じ和歌に精進し立派な教養人になったという逸話。道灌は江戸城をはじめに創建した人。今もその面影を伝える道灌濠が皇居(旧江戸城)に残っている。この場に登場するヤマブキはヤエヤマブキ。雄しべは花弁化し雌しべは退化しているので文字どおり実はならない。一方、一重のヤマブキは5〜8個の堅い痩果が実る。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物(朝日新聞社) 
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)        
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・野草図鑑 夏 (北隆館)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社)
  ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社) 

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