アーモンド

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上・中・下：花博記念公園　アーモンドの花と果実
下：日本新薬山科植物資料館　果実と種子

アーモンド　 Amygdalus communis　Linne　
　　真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
　　　バラ目Rosales
　　　　　バラ科 Rosaceae　モモ属 Amygdalus>(←サクラ属Prunus）

　英名：Sweet　almond
　
　洋菓子でお馴染みのアーモンド

生薬名　　：カンペントウ（甘扁桃）
利用部分　：種子（仁）、油（アーモンド油）
利用　　　：菓子、薬用、化粧品原料
名前の由来：amygdalusはシリア語のahmugdala(美しい木)dulcis(甘い)に由来。
　　　　　　扁桃の名はモモの果実を縦に扁平にした形の果実が実ることから。

お菓子やチョコレートでお馴染みのアーモンドは利用面からクルミやクリなどと同じナッツ類とされているが、植物的にはバラ科モモ属に分類される落葉高木。和名のヘントウ（扁桃）の名があるようにモモと近縁なので木の外観、花、葉の形などモモによく似ている。一見するとモモと間違う程だ。モモの花に似て大きく濃いピンク色、花弁は５枚。花弁の基部は色が濃い。

サクラ、モモと同じ頃咲き、６～7月頃実になる。扁平な果実は熟すと果皮がはじけて種が見えるようになる。木をゆすぶるなどして落とし殻を砕いて中の仁を取り出す。
旧約聖書にもアーモンドが登場することから、その当時すでにイスラエルにあったと推定される。それほど古くからの歴史あるアーモンドだが、原産地はインドの西部やペルシャ（イラン）と推定され、古い時代に地中海沿岸に広がったといわれている。

アーモンドは元々乾燥した気候に適する植物なので、現在スペイン、イタリアなどの地中海沿岸の諸国、アメリカのカリフォルニア州で多く栽培されている。日本へは明治初年ヘントウ（扁桃）の名で果樹として導入されたが日本は雨が多いため、あまり成功しなかったそうだ。

食用にされる仁には甘味種（スイート）のものと、苦味種（ビター）の２種類がある。

ビター種はエッセンスを抽出しリキュールや洋菓子の香りづけや薬用に、スイート種は食品主に製菓材料にされる。ナッツ類は一般に栄養価が高いがアーモンドも同様、脂質、蛋白質が豊富で味が濃厚。その他、ビタミンＥやビタミンＢ群のビタミン、カルシウム、カリウム、マンガン、鉄、亜鉛、銅、リン、マグネシウムなどのミネラルが豊富。近年話題の抗酸化作用のあるポリフェノールも含まれ動脈硬化予防が期待できる。

主な成分　
　・ヘントウ油（almond oil）カンペイトウ油(sweet almond oil）
　・脂肪油、脂肪酸（オレイン酸、パルミチン酸、他）
　・配糖体分解酵素エムルジン、配糖体アミグダリン
　・ビタミン類：ビタミンＡ（βカロテン）Ｂ１、Ｂ２、Ｅ、ナイアシン
　・ミネラル：カルシウム、カリウム、マンガン、鉄、亜鉛、銅、リン、マグネシウム　　など
利用・用途　
　乳剤の調製に用いる。またヘントウ油は薬用、化粧品原料などにもする。
　仁は製菓材料に用られる。

アーモンドの熟した果実　
　　　　　アーモンド熟実

　　　　　Photo：日本新薬　山科植物資料館　熟し破れた果皮から中の種子がのぞいている。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　（広川書店）
　　・食材事典　原田孝子監修（学研）
　　・新食品成分表　２０１７年(東京法令出版株式会社)
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）

（コメント）
アーモンドは従来の分類ではバラ科 Rosaceae　サクラ属 PrunusであったがＡＰＧⅢ分類ではモモ属Amygdalusに変更になった。
なおサクラ属を表す属名はPrunusからCerasusに変更になり、旧サクラ属の属名Prunusの属名称はスモモ属を表すようになった。

アーモンド

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