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ウメ（梅）

商品写真
上：五條市　賀名生梅林
中・下：大阪市立長居植物園　白梅と青いウメの果実

ウメ（梅）Armeniaca muｍe　Siebold　et　Zuccarini　　
　　真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
　　　バラ目Rosales
　　　　　バラ科 Rosaceae　アンズ属Armeniaca (←サクラ属Cerasus）

　早春の魁　食用に観賞用にと価値が高い

生薬名　　：ウメ（梅）
利用部分　：果実
利用　　　：民間薬　食用　ウバイ（烏梅）製造原料
名前の由来：原産地の中国で「梅」と書いてメイと発音する漢音が転じたとも。
　　　　　　渡来当時「烏梅」「宇梅」と書いてウメと読んでいたことからとの説がある。

中国原産の落葉低木、万葉の時代、我が国に渡来。以来本邦各地で栽培され、私たちの食生活になくてはならない価値ある花木となっている。
ウメは食用、信仰、呪性、観賞の対象として栽培されるだけでなく、野生化しても結実するほど丈夫で育てやすいことから普及したが、最も大きな普及の要素はその食用としての価値の高さにあるといえる。味付けには塩味、甘味、酸味が欠かせないがそのうちの酸味にはかってウメが用いられた。食物の味付けのことを塩梅（アンバイ）と言い。塩梅が良いとか悪いとかの表現に用いられる。１３世紀ごろまでは酸味はウメ酢を用いた。そのため各家にはウメの木が必須であったのだろう。後には梅干しを作るためにウメが栽培され各地に大規模な梅林がつくられ、花の美しさ、香りの清々しさからも観賞と実益を兼ねたウメの名所が各地にみられるようになった。園芸上多くの品種が生み出されているが、主として観賞用と果樹とに大別される。

ウメの実は生食はせず、未熟果（青梅）を梅干し、砂糖漬け、蜜漬け、のし梅、梅酒、ジャムに加工される。クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸を含くむ。
これらの酸味成分は疲労物質の乳酸の生成を抑制するはたらきで疲労回復が期待できる。食欲を増進し、整腸作用、殺菌作用もあり優れた健康食品になる。

またウメの未熟果を燻製にしたものをウバイ（烏梅）といい、ベニバナ（紅花）からベニの色素を取り出すときに用いる。ベニバナで布を染めるときの媒染剤として、また京の舞妓の紅やかつての宮廷の女官の紅もウバイとベニバナの組み合わせで作られる。
ウバイ（烏梅）には収斂作用があり下痢止め、熱くだし、咳止め、痰切、駆虫薬に活用される。
民間療法としては、ウメ酢を水で割って、暑気あたり、夏バテ、食欲不振などに用いられる。梅干しの黒焼きは風邪のとき熱湯を加えて飲んだり、歯痛、頭痛に、梅干しをつぶして痛いところにはったりする。
ウメの樹皮、梅皮は灰汁、鉄分などを媒染剤にして草木染めにも用いられる。

―賀名生梅林―
奈良県五條市の山間にあって、なだらかな山の斜面には約２万本のウメの木が植えられている。花の頃は純白や淡いピンクのウメの花が丘陵を埋め、見事な景観を醸し出す。ほのかなすがすがしい香り漂う賀名生の里は、南朝の哀史を伝える里としても知られている。
足利尊氏によって都を追われた後醍醐天皇は吉野に逃れる際、賀名生の里に立ち寄り、土地の郷士堀孫次郎の屋敷に迎えられた。以来堀家は、代々の南朝の天皇が逃避行の途中、行宮所として滞在された。立派な冠木門には天誅組の一員吉村寅太郎の筆による皇居の扁額が掲げられている。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・万葉の植物　松田　修著　（保育社）
　　・山渓カラー名鑑　日本の樹木　（山と渓谷社）
　　・食材事典　　原田孝子監修（学研）
　　・新食品成分表　２０１７年(東京法令出版株式会社)
　　・植物分類表　　大場秀章　編著　（アボック社）

(コメント)
従来ウメはサクラ属Prunusに属していたが、ＡＰＧ�靴諒�類ではアンズ属Armeniacaに変更になった。
尚、今までサクラ属の属名Prunusはサクラ属では使われなくなり、サクラ属はCerasusになりPrunusはスモモ属を表すようになった。

旧称サクラ属Prurusより新属名になったのは次のような属がある。
　モモ属Amygdalus、アンズ属Armeniaca、サクラ属Cerasus、バクチノキ属Laurocerasus、ウワズミザクラ属Padusなど

したがってウメの学名はPrunus mume　Siebolde　et　ZuccariniよりArmeniaca muｍe　Siebolde et Zuccariniに変更。

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