バクチノキ(博打の木)
バクチノキ ( 博打の木 ) Laurocerasus zippeliana Browicz
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
バラ目Rosales
バラ科 Rosaceae バクチノキ属 Laurocerasus(← サクラ属 Prunus ）
葉は鎮咳薬、キョウニン水原料になる。
生薬名 ：バクチ葉
利用部分 ：�／形�葉 �⊆�皮
利用 ：�．�ョウニン水製造原料 ��黄色染料
名前の由来：樹皮が剥がれ落ちその跡が紅黄色のまだら紋様となることから、博打ちが負けて
身ぐるみ剥がされ丸裸になるという例えを名前になぞらえた。
本州南部、九州、四国の太平洋側暖地に自生する常緑喬木。
バクチノキとは実に面白い名がついたものだ。赤く剥げ落ちた樹皮、サルスベリとは異なる赤さが際立つ。長さ１０〜２０ｃｍもある固く光沢のある常緑の葉。落葉しない。９月、総状花序に沢山の小さな５弁の白い花をつける。ガク片も５枚。雄しべは多数。従来のサクラ属に属す木のイメージとは随分かけ離れているが、葉柄の左右にはサクラ属を示す蜜腺が存在する。果実の実り始めはゆがんだ卵形だが、翌年の５月ごろ次第に楕円形になり紫黒色に熟す。
従来の分類では葉柄の左右にサクラ属を示す蜜腺が存在するなどの共通点からサクラ属に属していたが、遺伝子ＤＮＡに基づくＡＰＧ�靴諒�類では新たにバクチノキ属が設けられ、サクラ属から移動した。
新鮮葉には配糖体プルナシンを含んでいる。この新鮮な葉を水蒸気蒸留して得られるバクチ水はキョウニン水原料となり鎮咳薬にする。キョウニン水（杏仁水）はアンズの種子 キョウニンからも製造するが、バクチ葉を原料とする場合はキョウニン水の２倍濃度になるため倍に希釈し濃度を薄める必要がある。原料の１５％が収量になる。
−第十八番札所 恩山寺−
徳島県小松島市にあり、四国八十八箇所霊場 第十八番札所
弘法大師の母君玉依御前がこの寺で剃髪され、その御髪を奉納された寺として有名。山門を入ってすぐの所に大師お手植えと伝えられるビランジュの大木がある。元々は３本の樹であったのが合着したもので、現在は天然記念物の県指定を受けている。ビランジュはインドの毘蘭樹にちなんだ名で、バクチノキの別名。秋9〜10月にかけて花が咲き、翌年の春にかけて実が熟す。
Photo：第十八番札所 恩山寺参道のビランジュ（毘蘭樹）バクチノキの別名
楕円形の実が鈴なりに実り、中には黒く熟し、地面に無数の熟した果実が落ちていた。
参考文献
・朝日百科 世界の植物（朝日新聞社）
・最新生薬学 刈米達夫著（広川書店）
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著（広川書店）
・花と樹の事典 木村陽一郎監修（柏書房）
・山渓カラー名鑑 日本の樹木（山と渓谷社）
・植物分類表 大場秀章 編著（アボック社）
(コメント)
従来バクチノキはサクラ属Prunusに属していたが、ＡＰＧ�靴諒�類では独自の属、バクチノキ属 Laurocerasusが作られに変更になった。
尚、今までサクラ属の属名Prunusはサクラ属では使われなくなり、サクラ属はCerasusになりPrunusはスモモ属を表すようになった。
旧称サクラ属Prurusより新属名になったのは次のような属がある。
モモ属Amygdalus、アンズ属Armeniaca、サクラ属Cerasus、バクチノキ属Laurocerasus、ウワズミザクラ属Padusなど
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）