カリン（花梨）

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上：広島　縮景園カリンの花　
下：馬籠宿　カリンの果実

カリン（花梨）Pseudocydonia sinensis　(Thouin)C.K.Schned　
　　真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
　　　バラ目Rosales
　　　　　バラ科Rosaceae　カリン属Pseudocydonia（←ボケ属Chaenomeles ）

果実は咳止め、痰切に

生薬名　　：モッカ(木瓜）トウモッカ（唐木瓜）
利用部位　：実
利用　　　：漢方処方用薬　民間薬　
名前の由来：材の木目が、マメ科シタン属のカリン類に似ていることから。

中国原産の落葉高木で、日本への渡来した年代は、はっきりとしないが古くから庭木や盆栽に植栽され、甲信越から東北に多くみられる。
高さは数メートルもあり樹皮は緑がかった褐色で、年代を経た木はうろこ状にはがれ、跡がまだらになった特徴のある幹をしているのですぐにカリンと分かる。
花期は４～５月、花つきはそれほど多くないため、華やかさには欠けるが淡紅色または紅色の上品な花を咲かせる。秋、実の頃は壮観で、１０～１５ｃｍ程の大きな楕円形の果実が枝につく。

カリンの果実にはリンゴ酸、クエン酸、酒石酸などの有機酸とショ糖、サポニン、タンニン、アミグダリン、ビタミンＣなどが含まれ漢方では鎮咳、鎮痙、利尿薬にする。果実は硬く酸味が強いので、そのままでの生食には適さないが、薄切りにし陰干しにしたものを咳止や、痰切りに用いる。カリンの名をつけた「のど飴」もカリンエキスが配合されている。
煮て砂糖漬けにしたものも好まれる。また果実酒にすると香りも良く咳止め、滋養強壮、疲労回復などの薬用酒になる。同属のボケの果実も和木瓜としても同様に用いることも出来る。
近縁種マルメロ（Cydonia oblonga　Mill バラ科、マルメロ属）は果実を砂糖漬けにして食べる。

応用
　漢方処方例
　　・木瓜湯（もっかとう）　　
　果実酒
　　カリン酒　生の果実５～６個を荒く切り、ホワイトリカー1.8Ｌに漬け込む。グラニュー糖
　　または氷砂糖200ｇを加え、冷暗所で６カ月程保存すると、程よく熟成しカリン酒ができる。
　　咳止め、疲労回復に良い。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・花と樹の事典　木村陽一郎　監修　　（柏書房）
　　・山渓カラー名鑑　日本の樹木　（山と渓谷社）
　　・植物分類表　　大場秀章　編著　（アボック社）

(コメント）
従来カリンはボケ属 Chaenomelesに属していたが、遺伝子ＤＮＡに基づくＡＰＧⅢの分類では新たにカリン属Pseudocydoniaが作られ独立した。
したがって旧学名 Chaenomeles　 sinensis　Thouinは Pseudocydonia　sinensis　(Thouin) C.K.Schnedに変った。

カリン（花梨）

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