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シャリンバイ(車輪梅)

商品写真
上・中:市街地の街路樹のシャリンバイの花 
下:高知 桂浜 シャリンバイの黒紫色の実

シャリンバイ(車輪梅)Rhaphiolepis indica(L)Lindl ex Ker var umbellata (Thunb.) H.Ohashi
  真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids
    バラ目Rosales
       バラ科 Rosaceae シャリンバイ属Rhaphiolepis
                                  
和名    :車輪梅
利用部位  :樹皮、材
利用    :染料(大島紬)
名前の由来 :枝葉のつき方が車輪状につくことと花がウメに似ることから。

本邦南部、九州などの暖地の海岸に自生する常緑の潅木。葉は厚く、鋸歯があるものからないものまである。花は春に咲き、厚ぼったいものの、バラ科の特徴をよく示している。果実は直径1cmほど、黒紫色で秋から冬にかけて熟す。元々海岸の植物であり、乾燥に強いことに着目され、近年は街路樹や路側帯に植栽されることが多い。

樹皮や材にタンニン4〜5%をふくみ奄美大島の特産品である大島紬の褐色染色に使用されることでも有名。大島紬は絹糸をシャリンバイの浸出液と鉄分の多い泥土で染め手織りしたもの。シャリンバイの樹皮、材や根を鉄釜で少量の木灰とともに煮出して浸出液を作り使用する。地上部より根が良く、古木や、やせ地に生育したものほど良いとされる。浸出液に絹糸を浸しよく液をしみこませ乾燥させ、また浸す。この操作を何度も繰り返す。ついで鉄分の多い泥田に染色糸を浸し水洗、乾燥という操作を繰り返し、染色の状態を見て仕上げるなど、手間暇かけた行程を繰り返す。

タンニン酸色素と泥田の中の鉄分(酸化第2鉄)等が化学結合し味わい深く堅牢な色彩が生み出される。奄美の風土が無ければ決して生み出されなかった染色方法といえる。


シャリンバイの樹
    Photo:奄美大島  大島紬村のシャリンバイの大木
シャリンバイの材、樹皮を細かく砕き煮出し、浸出液を作る。カテコールタンニンと少量のカテキンが含まれる、これと泥土に含まれる鉄塩類によって水に不溶性の化合物が作られ、絹糸が独特の渋みのある黒色に染め上がる。

シャリンバイ奄美
    Photo:奄美大島、大島紬村 泥染めの様子、鉄分の多い泥田で行う。


参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修  (柏書房)
  ・日本薬草全書 水野瑞夫、田中俊弘共著(新日本法規出版)
  ・山渓カラー名鑑 日本の樹木 (山と渓谷社)
  ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)



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